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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

読売新聞で、NHK「クロ現」調査委・中間報告についてコメント

2015年04月10日 | メディアでのコメント・論評



NHK記者「演技依頼していない」食い違う証言

NHKの報道番組「クローズアップ現代」に出演した男性が「やらせがあった」と訴えている問題で、NHKの調査委員会は9日、中間報告を公表。

不十分な裏付け取材による事実関係の誤りを認定したほか、過剰な演出があった可能性があることを明らかにした。調査委が近くまとめる調査報告書で「やらせ」の有無などをどう判断するのか注目される。

◆4点で証言にズレ

「やらせはあったのか」「取材がずさんでは」。9日午前、NHKで行われた会見。記者の質問に対し、NHK幹部は「あくまで中間報告。判断は調査委員会が下す」と繰り返した。

昨年5月14日に放送された同番組は、多重債務者をブローカーを介して出家させ、名前を変えさせて融資などをだまし取る「出家詐欺」の手口を紹介する内容。調査委は、取材や制作に携わった記者らNHK側計14人と、番組で「ブローカー」とされた男性ら3人から聞き取りをし、記者と男性との主な説明の食い違いが4点明らかになったとした。

ブローカーとされた男性は「自分はブローカーではないが、記者から役を演じるよう依頼された」などと主張。記者は「男性はインタビューの中で自らを『われわれブローカー』と称した。演技の依頼はしていない」と説明している。

中間報告は、番組取材への認識や口止め依頼の有無を含め、これら4点の説明の相違を「主張の食い違い」などとするにとどめたが、会見で質問を受けたNHK幹部は、記者が男性本人に対し、ブローカーかどうかを尋ねて確認していなかったことも明らかにした。

(中略)

碓井広義・上智大教授(メディア論)の話

「問題の放送回の根幹は『ブローカーを見つけ、多重債務者とのやりとりを取材できた』という点であり、記者が男性に対してブローカーであるのかどうかを確認していない時点で、記者の認識にかかわらず、根幹に関わる部分の取材が不十分だったと言うほかない。また、事実関係と番組構成が合致しないなど不自然な点も多く、記者がスクープ性やストーリー性にこだわり、無理をした疑いもぬぐえない」


(読売新聞 2015.04.10)


朝日新聞で、NHK「クロ現」調査委・中間報告についてコメント

2015年04月10日 | メディアでのコメント・論評



やらせの有無、言い分対立 
NHK「クロ現」中間報告

NHKのクローズアップ現代で「やらせ」が指摘されている問題で、調査委員会は9日、中間報告を公表した。やらせの有無については調査を続けるが、番組で「(詐欺あっせんの)活動拠点」とした表現は誤りだったと認めた。詐欺をあっせんする現場を記者が突き止めたかのように構成した番組が、実際には旧知の関係者に依頼して撮影していたことも判明。識者からは「過剰な演出では」との声が上がっている。

番組は昨年5月14日に放送され、出家して戸籍名を変えることで債務記録の照会を困難にする「出家詐欺」の特集だった。大阪放送局の男性記者が詐欺あっせんの「活動拠点」を突き止め、ブローカーとされた男性にインタビュー。さらに現場を訪れた多重債務者を追いかけて、犯罪につながる認識はないかただす構成になっている。

ところが中間報告によると、記者は多重債務者の男性と8、9年前から知り合いで、「出家詐欺の相談に行く」と聞いたことをきっかけに取材が始まったという。多重債務者の男性が、ブローカーとされた男性に交渉して撮影したもので、事前に3人で打ち合わせをしていた。

さらに2人が相談する撮影では記者が同じ室内に残り、「よろしくお願いします。10分か15分やり取りしてもらって」と話す声や、やり取りが一通り終わったところで、「お金の工面のところのやり取りがもうちょっと補足で聞きたい」などと声を掛けた様子が記録されていた。

調査委は「番組を見た視聴者の多くは、このような形で撮影が行われたとは想像し得ないと思われる」として、取材・撮影の手法が適切だったか検証を進めるという。現場には記者のほかにも、ディレクターやカメラマンがいたことから、取材・制作のチェック体制についても調査する方針。

碓井広義・上智大教授(メディア論)は、「記者が撮影したい『絵』が先にあって、関係者をはめ込んでいった印象を受ける」と指摘する。

大阪市内の現場を番組では「(ブローカーの)活動拠点」として紹介していたが、実際には多重債務者の男性が、知り合いから鍵を借りていた部屋だった。男性は「自分が(撮影場所を)決めた」と話しているという。記者はこうした経緯を知らず、多重債務者の男性に「(ブローカーの)拠点でよいか」と尋ね、後日「それでいい」と返答があったので「活動拠点」と表現したという。NHKは「表現は誤りであり、裏付けが不十分だった」と認めた。

一方、「やらせ」の有無については、言い分が食い違っている。
記者は調査委の聞き取りに対し、「演技の依頼はしていない」と否定。取材に対し男性が詐欺の手口を詳細に語り、「われわれブローカー」と話したことから、ブローカーと確信していたという。NHKはさらに調査を進め、最終報告をまとめる。弁護士ら外部の調査委員の意見も聴いた上で公表する方針。

一方、ブローカーとして登場する男性は、「ブローカーの経験はなく、記者にやらせの指示を受けた。犯罪者のような放送をされ、憤りを感じる」として、NHKに訂正を求めている。男性の代理人弁護士は9日、中間報告を受け「各関係者の供述内容でポイントが明確化されたことは評価するが、承服できない部分も多い。内容を精査したうえで今後の対応を検討する」とのコメントを出した。

関西テレビの「『発掘!あるある大事典』調査委員会」委員も務めた音好宏・上智大教授(メディア論)は「それぞれの主張の食い違いを詰め切れていない。原因究明が不十分で再発防止に向けた言及もこれからと、中間報告とはいえ、あまりに不十分と感じた。思い込みで記者が突き進んだという印象は拭えない。視聴者に誤解を与えなかったかが今後のポイントだ」と話した。

記者は9日、朝日新聞の取材に「会社を通してください」と話した。(後藤洋平、中島耕太郎、岩田智博)
     ◇
9日のクローズアップ現代の放送では、国谷裕子キャスターが中間報告の内容を説明し、「活動拠点」と報じたことについて、「取材が不十分だったもので、部屋の借り主と視聴者の皆さまにおわび致します」と謝罪した。
     ◇
■NHKの中間報告の主なポイント
・「やらせ」指導の有無
 出演男性は「演技を依頼された」。記者は否定
・出演男性はブローカーだったのか
 男性は否定。記者は「間違いないと思った」
・撮影場所は詐欺あっせんの「活動拠点」か
 裏付けが不十分で誤り
・指摘を受けた場面構成や撮影手法
 視聴者に実際と異なる取材の過程や手法を印象づけた

(朝日新聞 2015.04.09)


毎日新聞で、NHK「クロ現」調査委・中間報告についてコメント

2015年04月10日 | メディアでのコメント・論評



NHK調査委:一部誤り認める
…やらせ指示は判断示さず

NHKの報道番組「クローズアップ現代」などで「やらせ」があったとされる問題でNHKは9日、調査委員会の中間報告を公表した。一部については誤りがあったことを認め、過剰演出の可能性についても言及しているが、記者が「やらせ」を指示したかどうかなどについては「意見に食い違いがある」と指摘するにとどまった。

問題の番組は「追跡“出家詐欺”〜狙われる宗教法人〜」。多重債務者がブローカーを介して出家の儀式を受け、名前を変えて融資などをだまし取る詐欺の手口を紹介。昨年4月25日に関西ローカル「かんさい熱視線」で放送されたあと同年5月14日「クローズアップ現代」で全国放送された。

やらせが疑われているのは、ブローカーとされる男性の元に、多重債務者とされる男性が相談に訪れる場面。窓越しに部屋の様子が撮影されている。

中間報告では、相談場所とされた事務所をブローカーの「活動拠点」とコメントしたことは「誤りであり、裏付けが不十分だった」と認めた。

また、記者が詐欺の現場を突き止めたように構成されているが、実際は2人に依頼して撮影していた。「視聴者に実際と異なる取材過程を印象づけた」として過剰な演出がなかったかなど検証の必要性を指摘した。

しかし、記者が演技を依頼したかについては「記者は一貫して否定している」とし、ブローカーとされる男性と意見が食い違っている点を指摘。男性を「ブローカー」と伝えたことについても記者と男性の間で認識が大きく異なっているとした。

ブローカーとされた男性は9日、代理人の弁護士を通じて改めて「記者に演技を求められた。自分はブローカーではない」とコメントした。

同日の「クローズアップ現代」で国谷裕子キャスターは、ブローカーの「活動拠点」ではなかったことを認めた上で謝罪。「取材や制作が適切であったか調査委員会はさらに調査を進め、できる限り早い時期に報告書を公表することにしています」と述べた。

中間報告について碓井広義・上智大新聞学科教授(メディア論)は「記者がだまされていたのか、それともブローカーではないと知りながら取材したのかといった核心部分が解明途上だったのは残念だ」と述べた。

【望月麻紀、須藤唯哉、北林靖彦】

◇弁護士「承服できない部分も多い」

NHKの中間報告を受け、NHKに訂正放送を求めたブローカーとされた男性の代理人の弁護士は9日、「各関係者の供述内容が明らかにされたことはポイントの明確化という意味で評価するが、承服できない部分も多く存在するので、内容を精査し、今後の対応について改めて検討する」とのコメントを発表した。

(毎日新聞 2015.04.09)

「マッサン」エリーは、今後も日本で通用するのか!?

2015年04月10日 | メディアでのコメント・論評



日刊ゲンダイに、「マッサン」でヒロインを演じた、シャーロット・ケイト・フォックスさんに関する記事が掲載されました。

この記事の中で、コメントしています。


”黒船女優”の成功例はゼロだが・・・
「マッサン」女優
日本続投に勝算アリ
バックに“大物”ディレクター

胸元がパックリと割れたセクシーなスーツに身を包み、歌声を披露する姿は堂々としたもの。3月末までNHK朝ドラ「マッサン」のヒロインを演じていたシャーロット・ケイト・フォックス(29)。あのエリー役の女優である。

「朝の顔」という大役を終えた彼女が次に演じるのは、またもや大役。今度は米ブロードウェーのミュージカル「CHICAGO」(NY公演10月26日~、東京公演12月4日~)の主演の座を射止めたのだ。

8日の記者会見には70社120人の報道陣が集まり、注目度の高さをうかがわせた。熱気ムンムンの会場でシャーロットが口にしたのは、感謝の言葉だった。

「日本では勇気と忍耐を培い、演技力も同じ人間とは思えないぐらいスキルアップしました。今があるのは『マッサン』のおかげ。私の人生を大きく変えてくれました」

朝ドラの撮影が始まって間もない昨春にはホームシックにかかり、夫や家族恋しさに一時帰国したのも、まるで嘘のよう。今ではすっかり“親日家”で、今年1月に大阪市内で行われたイベントでは「ずっと日本でこの仕事を続けられるようにしたい」と永住宣言。

もっとも、この発言が原因で「絶対ムリ」「勘違い女優」なんてアンチの声が多く上がっているが、まあ、無理もない。かつて「熱中時代」に出演して人気を博したミッキー・マッケンジーは、共演した水谷豊の妻となり、活動の場を日本に移したが、女優も結婚生活も長くは続かず、あっという間に過去の人に……。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)はこう言う。

「朝ドラひとつとっても次から次へと新たな作品が放送される中、視聴者の記憶はどうしても褪せてしまう。“エリー効果”は永遠に続くわけではありません。日本のテレビ界では毎クールごとにドラマが量産されていますが、果たしてどれだけ外国人女優を起用する作品があるのか。そして、酷なことをいうようですが、現時点のシャーロットは誰もが認める演技達者とは言い難い。もし仮に彼女の生き残る道があるとすれば、役の大小や作品を選り好みすることなく、何でも引き受ける覚悟。そして、バラエティーでも通用するトーク力を習得することではないでしょうか」


過去に成功例がないだけに、厳しい声ももっともだが、実はシャーロットには、強力な助っ人がバックについている。NHKのオーディションに彼女を紹介した演出家の存在だ。

「国内外の映画やドラマの配役を担うキャスティングディレクターの奈良橋陽子氏です。彼女はハリウッドに顔がきき、『ラストサムライ』で渡辺謙、『バベル』では菊地凜子をキャスティングした仕掛け人。シャーロットは奈良橋さんの娘が代表を務める事務所に所属している。“勝算”がなければ、日本で活動させるわけがありません」(芸能関係者)

“黒船女優”が日本の芸能界を席巻の予感である。

(日刊ゲンダイ 2015.04.09)


【気まぐれ写真館】 能年玲奈? じゃなくて、川栄李奈

2015年04月10日 | 気まぐれ写真館