碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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剛力彩芽が得をした、松本清張「黒い画集-草-」

2015年04月01日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今週は、松本清張「黒い画集-草-」(テレビ東京)について書きました。


テレビ東京開局50周年特別企画
松本清張「黒い画集-草-」
年度末“オスカー祭り”で光った剛力の好演

芸能事務所のオスカープロモーションと聞いて、すぐ思い浮かぶのは豪華女優陣だ。視聴率女王・米倉涼子をはじめ、真矢ミキ、上戸彩、武井咲などを擁している。

逆に男優はパッと名前が出てこないが、「ウルトラセブン」の森次晃嗣、田中健、志垣太郎といったベテランが所属している。そしてツートップが村上弘明と陣内孝則だ。

先週放送されたテレビ東京開局50周年特別企画、松本清張「黒い画集-草-」は、この2人に同じオスカーの剛力彩芽を加えた3人がメインキャストだった。しかもオスカーは製作にも名を連ねており、いわば年度末“オスカー祭り”である。

物語は総合病院を舞台にした連続殺人。その背後には組織的な麻薬犯罪の影がある。事件を捜査する刑事(陣内)、自称・翻訳家の不審な入院患者(村上)とその娘(剛力)という配役は、各々の“らしさ”が出ていて十分楽しめた。

陣内は中途半端なコメディ(「獣医さん、事件ですよ」日本テレビ系)よりコワモテ刑事が似合うし、村上も自己チュウな不倫男(「美しき罠」TBS系)よりも正義の人がお似合いだ。

オジサマ2人に囲まれて一番得をしたのは剛力だろう。2年前の「ビブリア古書堂の事件手帖」(フジテレビ系)以来、印象に残る役が少ないが、今回は“秘密”を抱える24歳を好演していた。

(日刊ゲンダイ 2015.04.01)


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2015年04月01日 | 気まぐれ写真館