碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

週刊新潮で、フジ「心がポキッとね」の山口智子についてコメント

2015年04月30日 | メディアでのコメント・論評



思えば、「心がポキッとね」とは、なかなか大胆なタイトルを付けたものです。

主演は阿部サダヲ。

実にユニークな役者さんであり、びっくりするようなお芝居を見せてくれる人ですが、それは映画やドラマの企画内容がうまくハマった時です。

果たして、今回のドラマは、阿部さんにとって良かったのか、どうか。

何しろ、どう見ても、山口智子が悪目立ちしています。

暴走気味で、しかも誰も止められないみたい。

主演は阿部サダヲなんだけどなあ。


というわけで、週刊新潮の「春ドラマ特集」の記事で、「心がポキッとね」の山口智子について、以下のようにコメントしました・・・・

上智大学の碓井広義教授(メディア論)は、

「山口智子に関しては、人によって評価が全く違うと思います。甘えたような、ヘラヘラした喋り方の往年の山口節は、中高年層へのサービスのつもりでしょう。

でも、画面の中の彼女は、役柄というより、良くも悪くも山口智子そのものに見えてしまう。『だよねえ~』という喋り方を聞くと、『アナタもう50だろう。ちゃんと喋ろうよ』と突っ込みを入れたくなります。このドラマでは邪魔になっている気がします」


(週刊新潮 2015.04.30)


東京新聞で、NHK「クロ現」調査報告書について解説

2015年04月30日 | メディアでのコメント・論評



東京新聞で、28日に公表された、NHK「クローズアップ現代」やらせ疑惑に関する調査報告書について解説しました。


テレビ朝日 報ステ関係者を処分 
古賀氏「自民圧力に屈した」

「報道ステーション」で元経済産業省官僚の古賀茂明氏が「官邸からバッシングを受けてきた」などと発言したことについて、テレビ朝日は二十八日、報道局の担当部長ら三人を戒告処分とし、早河洋会長ら三人が役員報酬を自主返上する、と発表した。

NHKも同日、報道番組「クローズアップ現代」でやらせがあったと指摘されている問題で、「過剰な演出や誤解を与える編集があった」などとする調査報告書を公表。番組を担当した大阪放送局記者を停職三カ月とするなど関係者十五人の懲戒処分を明らかにした。

古賀氏は三月二十七日の放送で、テレ朝の早河会長らの意向で「今日が最後(の出演)」と発言。安倍政権に批判的だとして官邸からバッシングがあったと述べて、古舘伊知郎キャスターと口論になった。

会見した吉田慎一社長は「番組進行上、不適切な事態に至ったことを深く反省している。混乱を防げなかった責任は当社にある」と謝罪。これに対し古賀氏は、本紙の取材に「今回の処分は、自民党に対する単なるアリバイ作り」と述べ、「放送法に言及されて、テレ朝は自民党の圧力に屈した。言論機関として恥ずべきことだ」と話した。

立教大の砂川浩慶准教授(メディア論)は「放送現場が萎縮する恐れがある。古賀さんのように自由に発言するコメンテーターを採用せず、当たり障りのないコメントをする人を使うようになれば、多様な論点が失われる。生放送は避けて不適切な発言は編集でカットするということにもつながりかねない」と指摘。「せめてコメンテーターの発言の自由は担保すると明言するなど、プラスの姿勢を示すべきだ」と語った。

一方、NHKの調査委は、事実の捏造(ねつぞう)につながるやらせはないとしたが、記者が部屋にいた中で取材相手を隠し撮りふうに撮影したことなどを、過剰な演出と判断。二十八日放送の「クローズアップ現代」で検証報道をして謝罪した。

これに対し、上智大の碓井広義教授(メディア論)は「伝えようとしたことと事実にズレが出てきたときに、記者が構成したいストーリーに映像を当てはめていったように見える。何がどう過剰なのかは報告書を読んだ限りでははっきりしない。『やらせ』という言葉を外したいから『過剰な演出』という言葉になったのか」と話している。

(東京新聞 2015.04.29)


・・・・知り合いの人間に直撃取材する場面一つとっても、視聴者が見た通りの事実ではありませんでした。

全体として、テレビ報道に対する視聴者の信頼を大きく損なう、非常に危うい番組作りを行っていたと言えます。

NHKは重い処分としているようですが、視聴者からすれば「それで幕引きなんだ」という印象。

今回の報告で、すべてクリアになったとは思えません。