碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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フジテレビ月9「恋仲」は、なぜ、つまずいたのか!?

2015年07月25日 | メディアでのコメント・論評



日刊ゲンダイに、フジテレビの月9ドラマ「恋仲」に関する特集記事が掲載されました。

この記事の中で、解説しています。


死んだ「月9」神話
「恋仲」初回視聴率1ケタの惨敗スタート

 フジテレビの象徴ともいえる「月9」の金看板が倒れつつある。 20日にスタートしたドラマ「恋仲」(フジテレビ系)の初回平均視聴率が9.8%(ビデオリサーチ調べ・関東地区=以下同)と大コケ。1987年から始まった「月9」枠では初の1ケタ発進となった。

 「東京ラブストーリー」(91年)や「ロングバケーション」(96年)など社会現象を巻き起こしてきた“ドル箱枠”だが、近年は絶不調。王道の恋愛ドラマにこだわるあまり、今や“負のレガシー”と化している。  

 上智大教授(メディア論)の碓井広義氏はこう語る。

 「ドラマの概要が発表された当初から、福士蒼汰と本田翼のドラマってそもそも需要があるの? と疑問でした。福士くんは“あまちゃんバブル”でブレークしましたが、主演を背負えるほどの技量はあるのか。モデルとしての本田翼はともかく、『女優・本田翼』の支持者はいるのか。この2点を考えただけでも、フジテレビのアンテナはズレているなと感じます」


 テレビ離れが進む若者を取り込むべく、同世代の人気者を起用したが、結果は完全に裏目。

 「これに追い打ちをかけたのがストーリーです」と碓井氏が続ける。

 「ドラマは脚本が肝。にもかかわらず、高校時代の三角関係が7年後も続いて……なんて、いつの世の恋愛ドラマ? という感じ。花火をバックにキスしてもいいですが、既視感たっぷりのドラマにガッカリ。まるで恋愛ドラマのパロディーでした。仕事じゃなかったらチャンネルを替えてますよ。作り手側であるフジのセンスはどうなっているのか。いくら恋愛ドラマだからといって“王道”をはき違えています。

 ただ、『さすが』と思ったのは視聴者の見る力。視聴率が1ケタだったのは、これだけ旧態依然としてありがちなものを見せられた視聴者の疑問の表れです。ニュースでは“まさかの1ケタ”って書いてましたが、全然“まさか”じゃない。このままでは、来週は7%くらいまで下がる可能性もあります」


 放送中のフジのドラマは「HEAT」が初回6.6%、「リスクの神様」は7.0%など、いずれも大苦戦。今週末に放送される、これまた看板番組「27時間テレビ」のキャッチコピーは「テレビの時代はもう終わり?……でも俺、本気出しちゃいます」。

 本気なのは分かるが、方向性を間違えていたら、視聴者に響くわけもなし。“月9”の不調は成功体験から抜け出せず時流を読み誤ったフジテレビの「自爆」だ。

(日刊ゲンダイ 2015.07.24)

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2015年07月25日 | テレビ・ラジオ・メディア


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2015年07月25日 | 気まぐれ写真館