碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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神木隆之介「サムライせんせい」の“軽い龍馬”で光る演技力

2015年11月20日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ朝日「サムライせんせい」を取り上げました。


テレビ朝日系「サムライせんせい」
光る神木“龍馬”の芸達者

2013年から14年にかけて放送された「信長のシェフ」(テレビ朝日系)。料理人の若者(玉森裕太)が戦国時代にタイムスリップし、なんと織田信長の“お抱えシェフ”となる物語だった。

この「サムライせんせい」(テレビ朝日系)は逆パターン。突然、幕末から現代へ、時空を超えてやってきた志士たちが巻き起こす珍騒動だ。

切腹したはずの武市半平太(錦戸亮)は、ちょんまげ姿のまま神里村の路上で目覚める。そして、人の良い元小学校校長(森本レオ)が経営する学習塾の臨時講師となった。

半平太が今どきのヒトやモノに驚く様子や、周囲の村人たちとの間で起こす摩擦が、我々が当たり前だと思っている社会や常識へのプチ批評になっているところがミソだ。

半平太より先にタイムスリップしてきていた坂本龍馬(神木隆之介)との対比も効いている。

この龍馬、すっかり現代に馴染んでおり、パソコンやスマホも駆使するフリーライターになっていた。神木の演技は相変わらず達者だ。武士のままの半平太とは異なる軽さと如才なさで笑わせる。

錦戸も神木とからむシーンが一番いきいきとしており、いわば男2人のダブル主演作である。

なぜタイムスリップしてきたのか。どうしたら過去に戻れるのか。戻ったとして彼らの運命は変わるのか。そんな疑問はひとまず置いて、のんびり楽しむ深夜ドラマだ。

(日刊ゲンダイ 2015.11.18)