碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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コンフィデンス「期待のニューカマー 女優編」で解説

2016年12月12日 | メディアでのコメント・論評


オリコンの専門誌「コンフィデンス」に、特集「期待のニューカマー」が掲載されました。

その「女優編」で解説しています。


特集 年末新人特集(後編)
「映画・ドラマ」で期待のニューカマーを紹介
2017年“ブレイクの芽”

碓井広義氏
 (上智大学文学部新聞学科教授/メディア論)


大学での研究・教育のかたわら、多くのコラムや放送時評などを連載する碓井広義教授。元テレビマンユニオンという経歴に裏打ちされた独自の視点からの論調や、新たな才能への確かな選球眼でも知られる。

大別するなら、日常とはかけ離れたある種のファンタジーとしての女優と、どこかに隙や素朴さを感じさせる女優、その2タイプが現代は求められている印象だという。

「圧倒的に少ないのは、誰が見ても美少女というタイプ。明らかに自分たちとは同じ土俵ではないけれど、別次元の存在として憧れてしまう。中条あやみさんなどが代表格です。

とにかく、画面に映るだけでゴージャス感が自然にこぼれ出る。ただ、それだけにドラマや映画での扱いが難しい面はあると思います。2017年には映画『チア☆ダン~』で重要な役どころでの出演がありますが、そんな普通の女子高生役で大丈夫なのかと心配してしまうほど。

このタイプでは、小松菜奈さんも注目しています。2人とも、来年はかなり話題になるでしょう」

ではもう一方の、“隙がある”タイプとは。

「全体に、何か物語を持っていそうな空気感がある女優さんと言い換えてもいいでしょう。あるいは地方色。決して都会的な洗練ではなく、地方にいながら自分を探して密かに努力している感じというか。単純にスターを目指すとかではなく、どこか屈折して秘めた思いがあるような。

そういう意味で、例えば森川葵さんは、女の子の集団の中にいても気になってしまう存在感があります。何かを背負っていて、奥行きを感じさせるような役柄ができるのは貴重。

石井杏奈さんも、映画『ソロモンの偽証』で見せてくれたような、どこか痛みを抱えた役がとても似合います。元気で可愛いけれど、決してそれだけではない。実年齢と重なりながら成長していて、来年が楽しみな女優さんです。

いずれにしろ、実人生はせいぜい20年かそこらしかないわけですから、実際に闇を抱えているかどうかの問題ではない。それを想像させる余地があるということで、そういう意味での隙間が重要ということです」

感情移入できる余白としての隙は、見ていてホッとできる親近感にも容易につながる。そうした要素が求められる背景には、閉塞した時代感があるのではないかと分析する。

「簡単に言えば、炎上社会ですよね。SNS疲れという言葉もありますが、息抜きしたい、癒されたいという無意識の傾向はもっと強まるのではないかと思っています。

完璧な美女や美少女というのは、近寄りがたく、どこか緊張を強いられる面がありますしね。もちろん、そういう美しさを求めるニーズも決して無くなりはしないわけですが」

他にも、注目する女優は多数。

「まだこれからという方も多いですし、無理にタイプ分類はせずに置きます。上白石萌音さんは今後の顔出し演技での世界観の作り方に期待。永野芽郁さんは正統派ですが、ちょっと二面性のある役どころなどにも挑戦してほしいかな。

八木莉可子さんもどう成長するのか非常に楽しみです。平祐奈さんは映画『ぼくが命をいただいた3日間』(2016年3月公開)での落ち着いた演技に感心して以来、注目していますね」

ちなみに個人的に応援しているという乃木坂46関連の人材では、女優転向宣言をして卒業した深川麻衣に期待しているとのこと。

「がんばってほしいです。これはすべての女優さんに共通して言えることですが、小さな役からコツコツと。基本的には、そこでどう埋没せずに輝けるか、それしかありませんから」

(コンフィデンス 2016年12月5日号)

京都での「実相寺昭雄監督・上映会」最終日 2016.12.11

2016年12月12日 | 映画・ビデオ・映像



勝賀瀬重憲監督と




京都文化博物館での「実相寺昭雄監督・上映会」も、いよいよ最終日。

「ウルトラセブン 狙われた街」と、「ウルトラマンマックス 狙われない街」が上映されました。

「ウルトラセブン」を、しかも、あの名作「狙われた街」を、16ミリのフィルム上映で観るという贅沢。

この2作品には、40年近くをつなぐ、監督の強いメッセージが込められていました。

トークショーのMCは、すっかりお馴染みの勝賀瀬重憲監督。

ゲストは、撮影監督の中堀正夫さん。

そして、スペシャルゲストは、実相寺昭雄監督夫人で、女優の原知佐子さん。

中堀さんは監督との出会いを語り、また原さんは「ヘンな人だったわねえ」と(笑)。

監督が大好きだった京都で行われた上映会、名残惜しくも、お開きとなりました。





中堀正夫さん




原 知佐子さん