碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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この惑星の変化 前向きに捉える「クラフトボス」CM

2020年09月24日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

サントリー「クラフトボス」

この惑星の変化 前向きに捉える

 

堺雅人さんが田舎道を必死で歩いている。後に続くのは地球調査中のトミー・リー・ジョーンズさんだ。「クラフトボス」の新作CMである。

二人は得意先までの遠い道のりに疲れた様子だ。すると目に前にピンクの「どこでもドア」が出現。一気に役所広司さんの農場に到着した。

直接会って説明しようとした堺さん。スマホをかざして「リモートでいいじゃないか」と鷹揚な役所さん。見れば、役所さんの両親が作物運搬用のドローンを操縦している。まるでドラえもんの「ひみつ道具」で遊ぶ、のび太たちみたいに楽しそうだ。

新型コロナウイルスの影響は「一億総マスク化」だけでなく、社会全体に及んでいる。当初は緊急対応かと思われた「リモートワーク」もすっかり日常化してきた。オーバーに言えば「仕事」という概念の再構築だ。

それまで不可能と思われていたことが、何かをきっかけに大きく前進する。原動力は「災い転じて福となす」の柔軟思考かもしれない。

(日経MJ「CM裏表」2020.09.21)