”クセ”ある寓話 笑いのツボ
アサヒ飲料 ワンダ
「朝ワン どっちの金の微糖」篇
1人の木こりがいました。仕事中に手をすべらせ、斧を泉に落としてしまいます。そこに突然、美しい女神が現れて……。「金の斧銀の斧」として知られる、イソップ童話の一編だ。
缶コーヒー「ワンダ」の最新CMでは、木こりならぬ千鳥のノブさんが「金の微糖を湖に落としてもうた!」と騒ぐ。すると女神のはずもない大悟さんが、落としたのは「金の金の微糖」か、それとも「銀の金の微糖」かと尋ねる。「ややこしいな!」と困惑顔のノブさんに、つい笑ってしまう。
2500年以上も前に古代ギリシャで生まれた寓話が、漫才の〝クセが強いネタ〟として現代に甦る。肩の力が抜けていながら意外な笑いのツボを押してくる、千鳥ならではの神業だ。出来れば「アリとキリギリス」や「北風と太陽」も千鳥バージョンが見たくなる。
ちなみに、もしも大悟さんが言うような純金製の「金の微糖」があったとしよう。金1gの最近の値段は7000円前後。ワンダ1本が185 gだから約130万円だ。ノブさんは誘惑に勝てるだろうか。
(日経MJ「CM裏表」2021.09.06)