碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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黒木華「ゴシップ」は予想以上の社会派エンタメに化ける可能性アリ

2022年01月12日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

黒木華「ゴシップ」は

予想以上の社会派エンタメに

化ける可能性アリ

 

黒木華「ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○」(フジテレビ系)が始まった。2019年の「凪のお暇」(TBS系)以来、久々の主演作だ。

ヒロインは瀬古凛々子(黒木)。出版社の経理部員だったが、ネットニュースサイト「カンフルNEWS」の編集部に異動してきた。社内のお荷物的部署で、PVが伸びなければ廃部は必至だ。

ネタ出し会議での凛々子が凄まじい。部員たちの提案をことごとく撃破していくのだ。「新鮮味なし」「プレスリリースからのコピペ」、さらには「取材・検証・実体験のない情報を収集して書いた、凡庸かつ内容の薄い記事」と容赦ない。

初回では女性部員(石井杏奈)が書いた、ゲームアプリ会社を「パワハラ企業」だとする記事が訴訟がらみの騒動に。凛々子はネタ元となった投稿をした人物を探し出し、この会社の人気ゲームのキャラクターが盗作であることを突きとめ、そのプロセスも含めて記事にしていった。

凛々子は、一般的にはかなりの“変人”かもしれない。だが、愛すべき変人だ。社会常識に欠けたり、場の空気は読めないが、物事の本質を見抜く目に曇りがない。ネットニュース編集長という立場で、それがどこまで発揮されるかが見どころだ。

また、この“笑わぬヒロイン”を演じる黒木が、やはりうまい。予想以上の社会派エンタメに化ける可能性がある。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2022.01.12)