碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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産経新聞で、「フジテレビ会見」についてコメント

2025年01月30日 | メディアでのコメント・論評

 

 

フジ会見 異例の10時間超

社員関与 改めて否定

「女性のプライバシー優先」

 

週刊文春が昨年12月26日発売号で元タレントの中居正広さんと女性との会食を巡るトラブルを報じた記事を巡り、フジテレビが1月27日に行った記者会見は、日付を超えて10時間以上に及んだ。

報道関係者ら437人が参加したこの記者会見で、多くの人が抱く疑問は解消されたのか。専門家は「中途半端な感じは否めない」などと物足りなさを指摘する。

第三者委へのつなぎ

17日の会見が正式参加を新聞社と通信社の記者に限定し、動画撮影を認めなかったのとは一転して、27日の会見はオープンで、フジテレビがCMなしで午前2時半過ぎまで中継を行った。

冒頭で港浩一社長と嘉納修治会長が辞任を表明。多くの企業CMの差し替えに至った現状への責任の所在を明らかにした。

メディア文化評論家の碓井広義氏は「開き直ってやれることをやった印象で、株主やスポンサーへの誠意を見せたといえなくもない」と一定の評価を下した。

ただ一方で、「3月末に第三者委員会の調査報告書が出るまでの対症療法やつなぎでしかない。2人の辞任は、段階的に責任を取る道を残したとも言える」と指摘する。

週刊文春は昨年12月、中居さんと女性のトラブルの発端となった会食にフジテレビ社員から誘われたと報道した。

これについてフジテレビは昨年暮れから一貫して否定。会見でも港氏が「聞き取りや通信履歴などを調査した」と根拠を述べ、記者からの追及にも揺らがなかった。

この問題で週刊文春電子版は今月28日、会食に誘ったのは社員ではなく中居さんだったと訂正、「お詫び」を掲載した。

ただ、同誌はフジテレビが女性社員にタレントを「接待」させる場を常態的に設けていたとも報じており、これについて港氏は「気が進まない人もいたのでは」と反省の弁を会見で述べた。

番組終了巡り批判

質疑は、令和5年8月に港氏が中居さんと女性とのトラブルを把握しながら、レギュラー番組終了まで1年半がかかった同局の対応に集中。

港氏は「女性のプライバシーを最優先した」と繰り返し、「番組終了で憶測を呼ぶことを憂慮した」「女性に伝わったら、どう刺激を与えるか心配した」などと釈明した。

こうした判断の是非を問う質問も集中したが、「第三者委員会の調査に委ねる」と繰り返した。

碓井氏は「一般常識と違う常識で動いていなかったのかという記者の問いかけに、フジテレビはちゃんと答えられていなかった」と印象を語った。

フジテレビの対応を問題視した企業の動きについて、新社長に就任する清水賢治氏は「配信広告にも影響が出始めている。4月期の改編のセールスは事実上、止まっている」と厳しい状況を語った。

遠藤龍之介副会長も、今秋に同局と東京都が参加するイベント「東京お台場トリエンナーレ2025」について「予定通りできるとは思わない」と述べた。

「あきれたのでは」

港氏が言いよどむと怒号が飛んだり、記者の長い主張に「早く質問を」と進行役が促したりする場面もあった。

「記者の態度や物言いにも、多くの視聴者があきれたのでは」と碓井氏。会見全体について「長い割にトラブルへの会社の関与も、企業風土の問題も不明瞭で中途半端な感じは否めなかった」としている。

(産経新聞 2025.01.29)