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【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】4ー07 軽諾寡信 身の丈を超えた仕事の依頼~軽々しく引き受ける人は信用されない~

2024-12-07 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

  【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】4ー07 軽諾寡信    身の丈を超えた仕事の依頼~軽々しく引き受ける人は信用されない~       


 
  四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
 経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
 四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
 以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。

第4章 判断力を養いベターな意思決定
 ビジネスだけではなく、日常生活におきましても、私たちから「判断」をするという作業を切り話すことはできません。同じ状況においても、人により判断結果は異なります。例え論理思考で現状や状況分析をキチンとできても、また例え思考力の高い人でも、判断の仕方次第でものごとがうまくいくこともあれば、うまくいかなかったり、さらには悪循環に陥ってしまったりすることもあります。
 四字熟語の中には、私たちが判断に迷わないように、また迷ったときのヒントを与えてくれたりもします。迷ったときに、答を教えてくれるわけではありませんが、解決の糸口が見つかりやすくなったり、解決の時間を短縮してくれたり、よりよい解決策を見出したり、現状が悪化するのを防いでくれたりと、ヒントを与えてくださる時にはそれにより助けられることもあるでしょう。
 4ー07 軽諾寡信    身の丈を超えた仕事の依頼
      ~ 軽々しく引き受ける人は信用されない ~


 「老子」に「軽諾は必ず信、寡なし(少なし)」とあります。
 「軽諾」は、「軽く諾する」すなわち「熟考せず、軽い気持ちで引き受ける」という意味です。「寡信」は、「信が少ない」ということから「信用が少ない」という意味であり、「軽諾寡信(けいだくかしん)」で「物事を軽々しく引き受ける人は、信用できない」という意味になります。反意語としては「一諾千金(いっかくせんきん)」があります。ご存知の方が多いと思いますが、「一度にたくさんの利益を、あまり苦労もせずに得ること」を指します。「一攫」は「ひとつかみ」という意味です。ところでこの「攫」という漢字ですが、「獲得」という意味に通じることから「一獲」と書く人が多いようです。常用漢字などの問題からでしょうか、最近、後者が用いられているのを時々見ます。できれば、前者の伝統的な表記を用いるようにして、博学であることを無言の内に示した方がよろしいのではないでしょうか。
 経営コンサルタントとして仕事をし始めたばかりの頃は、はじめからクライアント・顧問先を持っているわけではありませんでした。企業から声をかけられますと、仕事ほしさから何でも引き受けたくなりました。自分の実力以上の仕事であったり、自分の専門外であったりしても、仕事を欲しいという気持ちが先行してしまいがちです。
 経営コンサルタントに取って、その様な引き合い案件は、例え契約に結びついたとしても、自分の手に負える仕事ではなく、一夜漬けやドロ縄では間に合いません。経営者といっても、その道に永年従事していますので、ド素人のコンサルタントの化けの皮はすぐにはがれてしまいます。その結果、「あの人は無能なコンサルタントだ」という評判が立ち、次の引き合いになかなか巡り会えなくなってしまいます。
 身の丈に合った仕事を選ぶことが大切です。
 では、もし、自分の実力を超えたり、専門外であったりする仕事の話が経営コンサルタントに持ち込まれたときにはどうしたら良いのでしょうか?
 せっかくの引き合いですので、みすみす逃すのはもったいないです。かといって、身の丈を超えた仕事を引き受ければ、前述の結果になることは火を見るよりも明らかです。
 その様なときにはむしろ正直に言うようにしています。「大変うれしい話をありがとうございます。ただ、私の専門外のお仕事ですので、本日はお話を承り、その分野を得意とする先生をご紹介したいと思いますが、それで宜しいでしょうか?」と言ってみてはどうでしょうか。
 それでダメなら諦めざるを得ません。でもただで諦めてはプロの名折れです。自分が親しくしているコンサルタントに、「○○会社では、先生が専門としている分野のコンサルタントを探しているようですから、一度アプローチをしてはいかがでしょうか」と情報を流します。
 そのコンサルタントが信用できる人であれば、いつか逆に仕事に誘ってくれるでしょう。もし、その経営者が、「誰かを紹介して欲しい」という意向であれば、その時は、信頼できる先生を紹介し、鞄持ちをしながらその先生の仕事のやり方を学ばせてもらえば一石二鳥です。その先生が、ホンモノのコンサルタントであれば、顧問料の一部を分けてくれることが多いのです。「情けは人のためならず」という言葉は、このような時にも言えることです。
 しかし、なかなか信頼できるコンサルタントに出会うことは、コンサルタント業界にいる人にとっても難しいことです。それを解決できるのがコンサルタントの団体です。「共業・共用・共育」といって、「仲間と仕事をしながら実力を付け、収入を増やしていこう」という団体もあります。
 平素から、「コンサルタントは一人ではやって行けない時代である」ということを自覚し、仲間作りをすることが、ビジネスチャンス拡大にも繋がりますし、実力を養ったり、知識や情報を手に入れたりすることにも繋がります。
 一般企業でも同様なことがいえます。お客様から自社製品ではできない仕様要求があったときに、それをごまかして受注を取ってみてもダメな結果はわかりきっています。「羊頭狗肉(ようとうくにく)」は、「羊頭を懸かげて狗肉を売る」を略した表現です。「羊頭」は店頭や看板に未の頭を掲げ、実際には「狗肉」、犬の肉を売るという意味です。外見と実際が一致しなことを言います。あたかも素晴らしい商品であるかのように、派手な宣伝をしたり、展示会や店頭などで見せたりするものの、実際には粗悪品を売るようなビジネスの仕方を指します。
 上述のようなときに、「羊頭狗肉」ではなく、「△△の機能は弊社商品には有りませんが、こちらの機能を使えば代替方法でこのようにできます。○○の機能は他社にはない機能で、このようなことをすることができます」と正直に説明して、切り返すことも必要です。
 できないからと言って、一度つかみかけたお客様をむざむざと放さない粘りも不可欠です。本当に自社の技術では解決できないものかどうか、研究開発部門とじっくり腰を落ち着けて検討すべきではないでしょうか。ひょっとして、画期的な機能に繋がり、自社の将来を明るくする機会となるかもしれません。あるいは仲間や同業者に橋渡しをして、将来のチャンスを待つことも必要ではないでしょうか。
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