■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】025 ゾーンに入った体験生かし、ゾーン&アイデア創発に挑戦 8131
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■ ゾーンに入った体験生かし、ゾーン&アイデア創発に挑戦 8131
「ゾーンに入った」とは、何かに集中・没頭し、通常では考えられない成果を収める状態を意味する。スポーツの世界でよく使われるが、その言葉を社名に採用したゾーン(東京、近藤重和社長)は、アイデア創発をなりわいとするベンチャー企業。同社がアイデア創発のシンボルとして製品化したのがアトラクションシステムの、その名も「The Zone」。『亜空間に飛び込んで、超感覚を呼び覚ませ!』とうたう同システムと同社には、ポスト平成時代を先取りしたような新しさが感じられる。
ゾーンは2014年に近藤社長が設立した。大手電機メーカー出身の近藤氏は、メーカー時代、“放課後”に社内外の有志を募り、組織を超えたモノづくりを実践する場を作るなど、自由な発想と行動力の持ち主。「10年間、勤めて、やり尽くした感があった」(近藤社長)ことと持ち前の行動力から独立、起業する。近藤社長は「ゾーン状態を切り口に、人間のポテンシャルを覚醒する。そんな仕事に取り組めないかと考えた」と、起業時を振り返る。
同社の製品化第1弾となる「The Zone」は、公衆電話ボックス大の小部屋の6面すべてに映像を映し出して、360度映像に囲まれた中でゲームやカラオケが楽しめる装置。ユーザーが体を動かし映像に触れると新たな映像が表れるという双方向性や、音や振動で五感を刺激する仕掛けを備え、日常の生活空間とかけ離れた“亜空間”を創出。ユーザーにこれまで味わったことのない新感覚をもたらす。ITやVR(仮想現実)の最新技術の成せる業で、長崎県佐世保市の変なホテル・ハウステンボスに導入され、好評を博している。
「The Zone」について、近藤社長は「娯楽系のほか、訓練やリハビリに使える。体を動かして体で覚えることは記憶力の増強に直結するので、例えば歴史の学習などにも役立つはず」と幅広い用途を見込んでおり、目下、記憶増強・学習バージョンを開発中。同社では、こうしたシステム開発の一方で、人々に気付きを与えアイデアが湧き上がるようにするメソッドなど、近藤社長がメーカー勤務時代に身に付けたアイデア創発に関するあれこれもサ―ビス展開している。
現在、同社は親しいベンチャーや近藤社長の友人・知人らの協力を得てシステムを開発している。「面白いから」と無償で手助けする人もいて、既存の枠組みを超えたプロジェクトが進んでいる格好。近藤社長は「新しい未来を見たいと思っている人が少なくないのでは」とその背景を分析する。学生時代にテニスの試合でゾーン状態を体験し、その時、「試合相手をはじめ、周りのすべてと一体化したような幸福感を感じた」と近藤社長は振り返る。今、再びゾーンに入り、アイデアが次々と生まれ、形になる状況を迎えたようだ。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成