■■連載小説 経営コンサルタント竹根好助の先見思考経営 07
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【本書の読み方】
この小説は、これまで経営コンサルタントが主役になった小説がなく、脇役的な存在であることが多い、経営コンサルタントが主役です。「経営コンサルタント竹根好助シリーズ」の第4作目で、400字詰め原稿用紙120枚ほどの中編経営コンサルタント小説です。
本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。
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■■ 1 親子のいさかい 3
【回想】
育太郎は考え込んでしまった。育雄は、育太郎のそんな姿を見るのは久しぶりである。無言が何分続いただろうか、やおら育太郎が口を開いた。
「おまえ、何か考えはあるか?グタグタ言うのなら、何か建設的な提案でもしてみろ。」
いきなりの反撃の言葉に育雄はたじろいだ。
「そりゃ、俺だって考えていないわけではない。親父が印刷にそんなにこだわるなら、俺だってアパート経営に切り替えるなんて、負け犬的な発想を貫きたくない。」
なんだかだと言っている育雄であるが、具体策を持っていないことはお見通しである。育雄は苦し紛れに言葉を継いだ。
「例えばだよ、ゼログラフィー方式のコピー機を入れて、小ロット印刷をするとか・・・」
アイディアに取り組むということは、たとえそれが思いつきであっても口に出しているうちに、いろいろな発想に繋がってくる。それが具体的になんなのかわからなくて歯がゆい気持ちにもなるが、何か出てきそうだ、という明るい気持ちになってきた。だんだんと育雄の気持ちが高揚してくるのを感じた。
「小ロット印刷で思いついたのだけど、親父は神田の出版社と付き合いがある。少部数の書籍の印刷なんてどうだろう。」
「昔ならともかく、今の時代大手の出版社がガリ版印刷の本を出すとは思わないよ。」
「それなら、大手ではなくてさ、ちっちゃな出版会社だっていいじゃないか。」
育太郎は、育雄の発想を中断させないようにできるだけ言葉を出さないようにしている。
「そうだよな、これからはお客も昔みたいにガリ版刷りの印刷物なんか読まないよな。だからこそ、俺も親父に反発してきたのだ。これじゃ、堂々巡りか。」
育雄も考え込んでしまった。
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