前回ウイルスの基本的なことについて書きましたが、抗ウイルス薬の可能性について考えます。
なにしろウイルスは、タンパク質でできた殻とその中にウイルス核酸というDNAもしくはRNAが入っているだけです。また感染した場合も、自分で増えるわけではなく、感染細胞の力によって部品を作ってもらい、増殖します。こういった状況、でどこを攻めればウイルスをやっつけることができるか、かなり難しい問題です。ウイルス感染症を治す力は、免疫だけにかかっています。
通常のウイルスの場合は、感染してウイルスが増加してくると、免疫系の中の抗体がウイルスを異物として認識します。この認識した抗体を大量に作り、これがマクロファージやキラー細胞という異物を分解処理する免疫細胞と共に、ウイルスに結合しいわば食べてしまうわけです。こういう経過でウイルスをやっつけて、病気は治るわけです。ただし、この免疫システムが働くまでに、2,3日の準備期間が必要とされています。こういう経路で、例えばインフルエンザにかかっても3日ぐらいで治るわけです。
問題は、ウイルスが感染する細胞が、この免疫系細胞の場合です。つまりウイルスをやっつけるシステムが壊れてしまい、増殖を抑えることができないタイプのウイルスがいます。これがエイズウイルスや今話題のエボラウイルスになるわけです。また増殖が非常に早く、免疫系が働く前に組織が壊れてしまうようなケースもあります。
これを防ぐために開発されたものがワクチンです。
抗体はウイルスの外殻のタンパクの一部を認識します。ですから感染力をなくしたウイルス、理想的には外側のウイルスの殻だけのようなものを培養して増やしたものを人間に投与すれば、このウイルスに対する抗体を前もって作ることができるわけです。これがワクチンです。
ワクチンを接種してあれば、ウイルス感染の初期の段階で免疫システムが働き、増殖を止めることができるわけです。ですから感染しても発病しない、あるいは発病しても軽くて済んでしまうわけです。
私の感じでは、ワクチンの効果は免疫システムが働く時間を2,3日早めるだけですので、それほど重篤にはならない感染症の場合は、ワクチンの必要性は低いような気がします。その代表的なものがインフルエンザで、このウイルスは表面抗原が頻繁に変異する性質もあり、ほとんど効果がないような気もします。
抗体は一旦できると消えることはほとんどないといわれていますので、1種のウイルスに対しては1回ワクチンを接種すれば十分です。ただし一旦感染したおたふくかぜのウイルスが、神経細胞中にとどまっており、免疫力が低下したりすると増殖し、帯状疱疹が発病するなどということもありますので、免疫とウイルスの戦いは単純ではないようです。
ワクチンの話で長くなりましたので、薬の話はまた次回に。
なにしろウイルスは、タンパク質でできた殻とその中にウイルス核酸というDNAもしくはRNAが入っているだけです。また感染した場合も、自分で増えるわけではなく、感染細胞の力によって部品を作ってもらい、増殖します。こういった状況、でどこを攻めればウイルスをやっつけることができるか、かなり難しい問題です。ウイルス感染症を治す力は、免疫だけにかかっています。
通常のウイルスの場合は、感染してウイルスが増加してくると、免疫系の中の抗体がウイルスを異物として認識します。この認識した抗体を大量に作り、これがマクロファージやキラー細胞という異物を分解処理する免疫細胞と共に、ウイルスに結合しいわば食べてしまうわけです。こういう経過でウイルスをやっつけて、病気は治るわけです。ただし、この免疫システムが働くまでに、2,3日の準備期間が必要とされています。こういう経路で、例えばインフルエンザにかかっても3日ぐらいで治るわけです。
問題は、ウイルスが感染する細胞が、この免疫系細胞の場合です。つまりウイルスをやっつけるシステムが壊れてしまい、増殖を抑えることができないタイプのウイルスがいます。これがエイズウイルスや今話題のエボラウイルスになるわけです。また増殖が非常に早く、免疫系が働く前に組織が壊れてしまうようなケースもあります。
これを防ぐために開発されたものがワクチンです。
抗体はウイルスの外殻のタンパクの一部を認識します。ですから感染力をなくしたウイルス、理想的には外側のウイルスの殻だけのようなものを培養して増やしたものを人間に投与すれば、このウイルスに対する抗体を前もって作ることができるわけです。これがワクチンです。
ワクチンを接種してあれば、ウイルス感染の初期の段階で免疫システムが働き、増殖を止めることができるわけです。ですから感染しても発病しない、あるいは発病しても軽くて済んでしまうわけです。
私の感じでは、ワクチンの効果は免疫システムが働く時間を2,3日早めるだけですので、それほど重篤にはならない感染症の場合は、ワクチンの必要性は低いような気がします。その代表的なものがインフルエンザで、このウイルスは表面抗原が頻繁に変異する性質もあり、ほとんど効果がないような気もします。
抗体は一旦できると消えることはほとんどないといわれていますので、1種のウイルスに対しては1回ワクチンを接種すれば十分です。ただし一旦感染したおたふくかぜのウイルスが、神経細胞中にとどまっており、免疫力が低下したりすると増殖し、帯状疱疹が発病するなどということもありますので、免疫とウイルスの戦いは単純ではないようです。
ワクチンの話で長くなりましたので、薬の話はまた次回に。