ごっとさんのブログ

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自然食品はおいしくて安全か

2014-11-23 10:32:02 | 健康・医療
以前食品の安全性について書きましたが、ここでは自然食品の安全性について述べてみます。
現在自然食品ブームのようなものが起きているような気がします。よく自然食品(無農薬食品を指すようです)は美味しくて安全だという話を聞きます。まあおいしいかどうかは、個人の味覚ですのでさまざまでよいと思いますが、安全かどうかはやや疑問に思っています。どうも人工の農薬などは危険で、天然のものは安全だという基本概念があるようです。
確かに一世代前の農薬は非常に危険なもので、田や用水池から小魚やザリガニなどの生物が消えてしまいました。これは作物の病気、特にカビなどの真菌類によって起きる病気を防ぐために、非常に強く選択性もない農薬が使用されていました。その後より選択制のしっかりした、他の生物には影響のない安全な農薬に代わり、30年前ぐらいから水辺の生物が復活してきています。

私も15年前ぐらいに農薬の開発に携わったことがありますが、安全性試験はここまで厳しいのか驚いた経験があります。例えば吸入毒性試験は、農薬の微粉末を吹き込み吸入させるのですが、実験動物が見えなくなるくらいの大量の粉末を使い、窒息するのではと思うほどでした。ですから現在の農薬は、摂取しても全く問題がないくらい安全になっています。しかし残念ながら、こういった安全な農薬は価格が高く、まだやや危険だけれど安価な農薬も出回っています。たぶん”農薬=危険なもの”という感覚はなくならないのかもしれません。

私が中学生ぐらいの頃です。よく友人と近くの川に釣りに行きました。フナ釣りは、基本的に釣ったフナは帰るとき逃がすのですが、友人の家の小さな池に放したことがあります。それがわかり、友人のお父さんにひどく怒られました。たぶん一週間ぐらい後に友人の家に行ったところ、その小さな池で泳いでいた緋鯉や金魚が全滅していました。
この理由は、普通の川で生活している魚は、多数の病原菌などと共存しており、その耐性を獲得して生きているわけです。しかし小さな池で管理されている魚は、そういった耐性がないため、病原菌を持った魚が加わった途端に感染し死んでしまったのです。

このように自然界で生きている動物は、病原菌や害虫と戦いながら生育しています。これは動物だけではなく、植物も同様です。
食品として、人間が作った農薬などで健康を管理されたものと、自然のままにあまり健康でないものとどちらを選ぶかということになります。
こういう点をわかったうえで、食品を選ぶのであれば、自然食品もよいと思いますが、安全性という点でどちらが良いかは一概には言えないと思っています。