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病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

病気を治すのは薬ではなく自分自身

2014-11-28 09:57:19 | 健康・医療
このところギャンブルや時事関連が多くなっていますので、このブログのサブタイトル”病気を治すのは薬ではなく自分自身”について書いてみます。
実はこのサブタイトルは、私の個人的意見ではなく、ある意味で厚生労働省をはじめとする、医薬関係者では認められていることです。別に隠しているわけではないのですが、主張・公表することではないので、あまり広まっていないだけです。

新薬開発には非常に多くのステップがありますが、最後の臨床試験、つまり病気の患者さんに効果を調べる最終実験を第3相試験(Fase III)といいます。この前段階で、新薬がしっかり効果があること、患者さんを治療できることを確認し、最後の試験は既に使用されている薬との比較試験となります。つまり新薬を出すためには、単に効果があるだけではなく、すでに使われている薬よりも良い点がなければ、出す意味がありません。そこで効果を比較するための試験を行う必要があるのです。使われている薬を対照薬と呼びますが、通常その病気で最もよく効く薬が選ばれます。

実はこの試験では、新薬と対照薬だけでなく、もう一種類の薬を比較するのです。これをプラセーボ(偽薬)と呼び、全く薬としての効果がないもの、多くはブドウ糖などの糖類が使われます。この3種は当然ですが、全く同じ外観で区別がつかないようになっており、実際にこれを患者さんに投与するお医者さんも、3種のうちのどれかがわからないようになっています。それでこの試験を2重盲検試験と呼んでいます。

さて比較試験になぜプラセーボを入れ、2重盲検試験にするのかということになります。
これは医者が”新薬でよく効く薬です”といって患者さんに投与すると、患者さんもそれならよくなると思い込み、それで回復してしまうことがあるわけです。稀ではありますが、ある医療機関の結果を集計すると、新薬は対照薬よりは良い結果になったが、プラセーボに負けてしまったというような、笑えない笑い話が出るようです。

つまり患者さんがこれを飲めば治ると信じて、薬ではないものでもよくなることが、どのくらいあるかを把握し、差し引くためにプラセーボを入れるのです。これは病気の種類によってもちろん異なりますが、プラセーボを飲んだ人の30%程度が改善するとされています。

この2重盲検試験が、正式な医薬品の評価法として確立しているということは、薬を飲まなくても自力で病気を克服できることを、関係者は認めているといえます。