このところ錦織のテニスの話が多かったのですが、昨日はフェデラーの棄権でジョコビッチ3連覇というあっけない結果でした。
ということで、今日は久しぶりに薬の話です。
現在の薬の開発は、かなり理論的になっており、例えば高血圧の薬の場合、作ったものを高血圧ネズミに与えて、血圧がが下がるかというような効果の判定法は、かなり後になります。
まず高血圧になるメカニズムを考え、どこの受容体や酵素をブロックすれば血圧の上昇を抑えることができるかのターゲットを決定します。例えば体内で、血管を収縮するような物質が作られていますが、これができないように、合成酵素を阻害してやれば、血圧が上がることがなくなります。この場合は、この酵素を取り出し、どの薬が一番よく阻害するかを見れば、血圧降下剤が発見できるわけです。
このような活性測定法には、いろいろなメリットがあります。薬を作る我々にとっては、非常に少量で判定できますので、合成が簡単になり、多くの薬剤を作りやすくなります。また判定方法や時間も短いので、すぐに結果が出るわけです。これを in vitro の実験と言いますが、ほとんどの薬剤はこういった手法で、効くかどうかを判定しています。こういった方法により、数百種類の試験化合物の中から、数個のよく効くはずの薬候補化合物を選び出します。
これらをいよいよ動物実験にかけるわけです。通常マウスが使われますが、これはいわゆるハツカネズミでかなり小さいネズミです。実験の種類によってはラットというドブネズミのような大きなネズミを使用します。現在の実験動物の進歩は素晴らしく、ほとんどすべての病気のマウスが飼育・販売されています。本態性高血圧はもちろん、うつ病のマウスすらいるようです。こういったマウスをどうやって生み出していくのかはわかりませんが、このような実験動物がいることで、薬の正確な効果を測定できるようになっています。
余談ですが、この実験動物をしっかり飼育することが非常に重要になっています。医薬の開発においては、すべての実験結果を出すことが義務付けられています。つまり出てしまった結果はやり直すことができないわけです。例えば、10匹のマウスを使って実験をし、1匹が死んでしまったとします。この死因がたまたま寿命であっても、実験中心不全や脳溢血になっても、結果としてはある実験での死亡例1は消すことができません。その後何回やっても全く死亡例が出なくても、あの時はおかしかったと消すことはできないのです。
ですから実験動物の管理は非常に厳密で、何代も前からの系統をそろえ、10匹使うとしたら同じ時間に生まれたものを使っています。
このような動物実験で効果が出て、やっと次の段階に進むわけです。ちょっと長くなりましたので、続きはまたの機会にします。
ということで、今日は久しぶりに薬の話です。
現在の薬の開発は、かなり理論的になっており、例えば高血圧の薬の場合、作ったものを高血圧ネズミに与えて、血圧がが下がるかというような効果の判定法は、かなり後になります。
まず高血圧になるメカニズムを考え、どこの受容体や酵素をブロックすれば血圧の上昇を抑えることができるかのターゲットを決定します。例えば体内で、血管を収縮するような物質が作られていますが、これができないように、合成酵素を阻害してやれば、血圧が上がることがなくなります。この場合は、この酵素を取り出し、どの薬が一番よく阻害するかを見れば、血圧降下剤が発見できるわけです。
このような活性測定法には、いろいろなメリットがあります。薬を作る我々にとっては、非常に少量で判定できますので、合成が簡単になり、多くの薬剤を作りやすくなります。また判定方法や時間も短いので、すぐに結果が出るわけです。これを in vitro の実験と言いますが、ほとんどの薬剤はこういった手法で、効くかどうかを判定しています。こういった方法により、数百種類の試験化合物の中から、数個のよく効くはずの薬候補化合物を選び出します。
これらをいよいよ動物実験にかけるわけです。通常マウスが使われますが、これはいわゆるハツカネズミでかなり小さいネズミです。実験の種類によってはラットというドブネズミのような大きなネズミを使用します。現在の実験動物の進歩は素晴らしく、ほとんどすべての病気のマウスが飼育・販売されています。本態性高血圧はもちろん、うつ病のマウスすらいるようです。こういったマウスをどうやって生み出していくのかはわかりませんが、このような実験動物がいることで、薬の正確な効果を測定できるようになっています。
余談ですが、この実験動物をしっかり飼育することが非常に重要になっています。医薬の開発においては、すべての実験結果を出すことが義務付けられています。つまり出てしまった結果はやり直すことができないわけです。例えば、10匹のマウスを使って実験をし、1匹が死んでしまったとします。この死因がたまたま寿命であっても、実験中心不全や脳溢血になっても、結果としてはある実験での死亡例1は消すことができません。その後何回やっても全く死亡例が出なくても、あの時はおかしかったと消すことはできないのです。
ですから実験動物の管理は非常に厳密で、何代も前からの系統をそろえ、10匹使うとしたら同じ時間に生まれたものを使っています。
このような動物実験で効果が出て、やっと次の段階に進むわけです。ちょっと長くなりましたので、続きはまたの機会にします。