内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

夜明けの水泳と午後の会議 ― 今後のアルザスでの日本研究の将来について

2014-10-13 19:51:37 | 雑感

 普段通っている最寄りのプールは、月曜から木曜までと土曜日が午前七時開場。今日の日の出時間は七時四十五分であるから、朝一番に行くと、まだ日の出前に泳ぎ始めることになる。それでも開門と同時にざっと数えて二十人以上が入場する。今日のように昨夜来の雨がまだ上がっておらず、空が雨雲に覆われていると、しばらくは薄明の中を泳ぐことになる。水中は側方ライトで十分に照らさているが、水面上の他の泳者の顔は二十五メートルのコースの端と端ではよく見分けられないほどである。ましてや五十メートルコースの反対の端はまだ闇に包まれている。もちろん三十分も泳いでいれば、いくら雨雲に覆われていても、プール全体が見渡せるほどに上空も明るくなってくる。これから冬に向かって日はどんどん短くなる一方なわけであるから、たとえ十月末に冬時間に切り替わったときに、時計の上では一時間日の出が繰り上がったとしても、十一月の後半ともなれば、朝の水泳は夜明け前の薄明の中でということになる。真冬になっても開場時間が今の季節と同じだとは思えないが、とにかく一年中オープンしていることは確かであり、いったいどんな雰囲気になるのか、今から興味津々である。
 昼前に自宅を出てコルマールに向かう。まず駅前のレストランで、大学の同僚二人とCEEJAの副研究所長と昼食を共にする。その後のCEEJAでの会議の事前会議という意味合いもあった。そこで私がこれまでに聞き及んでいた問題以外もいろいろと話題になり、昨年度はとりわけいろいろな点で関係者間に相当な緊張関係があったこともわかった。当面の具体的な対処において過たないためには、それらの問題のレベルをきちんと見分けることがまず何よりも大切だと私には思われた。
 CEEJAでの研究所長と企画部長との会議では、研究所長からCEEJAの置かれた厳しい状況についての説明があり、その後、各自それに対する質問、懸念、反論等を述べ、一通り議論を尽くしたところで散会となった。
 会食と会議を通じてよくわかったことは、フランス・アルザス地方・CEEJAがあるオー・ラン県というそれぞれのレベルで深刻な問題が発生していること、それに日本との関係(特定の地方自治体、経済界と大学関係)が絡み合い、それらの文脈の中でCEEJA内の組織の構造と人間関係の問題と、CEEJAとストラスブール大学との関係という問題が今問われており、いずれにせよ、新しい方向性と大胆な改革案とをこの数カ月の内に打ち出すことが求められていることは確かである。
 帰路は同僚の一人の車でストラスブールに帰る学科長と副所長と一緒にキャンパスの脇まで送ってもらい、そこから路面電車で帰宅。
 学科長は、別れ際に、「もうこういう会議はたくさんだ。今日は一日無駄にしたようなものだ」と愚痴っていたが、確かに、彼にしてみれば、今日の会議で何か決まったわけでもなく、問題はそのまま残されたままだから、わざわざコルマールまで行ってただ現状認識にとどまった今日の会議についてそう言いたくなるのもわかる。しかし、私にしてみれば、これはこれで現状への認識を深めるきっかけにもなったし、それに基づいてこれからの自分の行動を慎重に律することを原則としつつ、必要に応じて機敏に率先して事態に対応し、場合によっては大胆に行動すべきであることもわかったから、まったく無益ではなかった。