内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

森の中の絵画的空間

2015-10-10 04:48:59 | 写真

 陽が西に傾き始めた夕刻、周りの樹々が差しかける枝々の緑・黄・赤の葉が織り成すタペストリーの合間を縫って、人一人やっと通れるほどの幅の細道を自転車で駆け抜けようとしているとき、木製の朽ちかけた橋に出くわした。人同士がようやくすれ違えるほどの幅のその橋は、流れを止めた小川の上に掛かっていた。周りに人気はなく、鳥たちの鳴き声だけが空に響いている。その橋の上から川面を見下ろすと、散り敷いた落ち葉に覆われた水面、その上方の緑の藻に覆われた水面、その水面の下に沈み込もうとしている苔むした一本の樹、その樹から複雑に絡み合いながら水上に伸び広がる細枝、それらすべてを取り囲む川べりの樹々の葉、これらすべての要素があたかも一枚の絵を構成しているようであった。そこだけ時間が止まっているような不思議な感覚に一瞬捕らわれた。

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