何かを学ぼうというとき、それがどんな分野のことであれ、明確な目的なしに漫然と練習を繰り返しているだけでは、たいした上達は望めない。
何の手引も指導者もなしに始めてまだ五日に過ぎないカメラであるから、無知ゆえに初歩的なミスを繰り返し、なかなか思うような結果が得られない。この点については、いただいたアドヴァイスに耳を傾けながら、基礎知識を習得していくことで、徐々に改善されていくことであろう。
しかし、何をどう撮りたいのか、自分ではっきりしていなければ、これからの課題も明確にはならない。
私が撮れるようになりたいと思っているのは、まずは、自然の光の戯れ。これは光そのものというより、光によってどれだけ物の見え方が変化するかを捉えたい。次に、色の組み合わせの妙。ある対象そのものの色(例えば、花の色)ではなく、その花の色と背景との色の組み合わせ、さらには、それぞれ異質なものが一つの構図の中で組み合わされたときの色の配合の面白さを捉えたい。例えば、工事現場のコンクリートの灰色、クレーン車の赤と白、その脇の銀杏の木の黄色、古い民家の土壁色、その下を流れる川の水の色、これらが織りなす色のアラベスクを一つの構図に収めてみたい。そして、視点の変化。普段見慣れているものを非日常的な角度・観点・構図の中で捉え直してみたい。
一言で言えば、ちょっと大袈裟な言い方だが、肉眼で見るときとは違った仕方で光と色彩と物の世界を捉え直してみたい。
ここで、いきなり唐突と思われるであろう方向に話が飛躍する。私がカメラを使って楽しみながら実践したいこと、それは、世界を新たな眼差しで見直すこと、見慣れたと思い込んでいる生活世界を発見し直すことである。つまり、それは、一つの哲学的実践のための手掛かりに他ならない。
今日の一枚は、近所の森の中を自転車で走り回りながら撮った。森の中にはこんな緑のトンネルのような細道が網状に広がっている。
(写真はその上でクリックすると拡大されます)