昨日の記事の末尾に、亀や蝸牛のように遅々としたペースで読んでいくと書きましたけれど、今日から月末までは、それよりもさらに遅くなるというか、もう一日に原テキストの二三行ずつについてメモを残しておく程度の記事になります。
このペースダウンの最も大きな理由は、締切りの迫った原稿に集中する必要があるということです。そのために来週と再来週の修士の演習を二回休講にして四月に補講をすることにしたくらい切羽詰っています。その原稿の内容は、二十世紀に仏訳された日本の哲学書についての概観です。仏訳された外国書の歴史を中世から順に出版している大規模な辞書シリーズの中の二十世紀の巻の一項目になります。
さて、今日から読みはじめる段落は、ILFIの30頁一頁をほぼ占めている比較的長い一段落です。それを細切れにして、毎日細々と読んでいきます。
Aussi, psychologie et théorie du collectif sont liées : c’est l’ontogénèse qui indique ce qu’est la participation au collectif et qui indique aussi ce qu’est l’opération psychique conçue comme résolution d’une problématique. L’individuation qu’est la vie est conçue comme découverte, dans une situation conflictuelle, d’une axiomatique nouvelle incorporant et unifiant en système contenant l’individu tous les éléments de cette situation.
昨日まで読んできた前段落の内容から、心理学と集団の理論とは互いに結び合わされていることがわかります。それは、個体発生という統一的な観点から複合的・重層的な個体生成過程を捉えるというシモンドンの一貫した思考が導き出した帰結です。
集団への参加とはどいうことなのか、そしてまた、個体が抱えた問題群の解決として形成された心理的操作がどのようなものか、それを示しているのが個体発生なのです。
過程としての生命に他ならない個体化は、葛藤や争いを孕んだ状況の中で、問題群を解決するための前提となる新しい「公理系」(一つのシステムとして構造化された自明性)の発見として生成されます。この公理系が、当の問題の個体をその裡に含んだシステムとして、個体がそこに置かれている状況を構成しているすべての要素を一体化し統合化するのです。