内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

研究会に参加しての思わぬ収穫 ― TGVの車中から

2019-03-14 19:25:07 | 雑感

 この記事はリルからストラスブールへと戻るTGVの車中で書いている。
 今日の研究会は、私以外の発表はそれぞれに面白く、学ぶことも多かった。自分の発表はといえば、直前まで随分削ったにもかかわらず、結局、最後の三頁近くを一言でまとめなければならないことになり、尻切れトンボに終わってしまった。午前中の発表者たちがミッシェル・アンリに何度も言及していたことから、ミッシェル・アンリについては本当に問題の核心だけ述べればよいことがわかったが、その場で構成を大幅に変える芸当もできず、大いに不満の残る結果になってしまった。三つの質問を受け、それには一応答えたが、むしろ今後見直すべき点を教えられたという点では収穫があったと言えようか。
 研究会が午後五時に終わり、慌ただしく参加者と挨拶を交わし、リル大学、パリ第四大学、ローマ大学の教授たち三人と一緒に大学からメトロで駅に向かった。
 研究会の間にわかって驚いたことに、このリル大学の教授は、二〇一四年までストラスブール大学哲学部に勤務され、今もずっとストラスブールに住んでいらっしゃり、お住まいが私の住まいとトラムで一駅という近さなのである(二年前に現在のアパートに引っ越したとのこと)。教授は、ストラスブールに博士課程の学生時代から二十五年間住んでいらっしゃり、奥様もストラスブールの ENA で働いておられるとのこと。私と入れ違いに、ポストはストラスブールからリルに移ったが、愛着のあるストラスブールに早く戻りたいと願っていて、うまくいけばこの九月にその願いが実現するという。もしそうなったら、一緒に研究会を組織しようと誘ってくださった。この教授との出会いが今回の研究会に参加しての最大の収穫ということになるかもしれない。