趣味であれ運動であれ、何かやろうと決めると、最初に投資する。それをやるのに必要なものを一通り買い揃える。もちろん品質の良いものを選ぶ。
二十代前半に狂っていたバイクには本当によく金をつぎ込んだ。まわりから呆れられるほどだった。バイクそのものは毎年最新型に買い替えていた。ヘルメット、革のつなぎ、革のブーツ、その他のウエア、バイクのメンテナンスに必要な工具などなど、毎月のバイト代はほとんどすべてそれらのために消えた。
五年ほど乗りまくっていたが、車との接触事故を起こし、怪我はたいしたことなかったが、バイクは大破し、修理不可能となり、相手の保険金でまた新車を買えるだけのお金が下りたが、もうバイクは止めようと決めた。それ以後、数回、人のバイクを借りて、ツーリングに出かけたことはあった。が、自分で買うことはもうなかった。
それ以後は、趣味にそんなバカなお金のかけかたをすることはなくなった。というか、仮にしたくなったとしても、経済的にできなくなった。ただ、一念発起して何か運動を始めるとき、いくらか投資した。博論完成後、なまりきった体を鍛え直そうと始めたジョギングのために、ちょっと高めのウエアと靴を買った。買った以上はやらねば、という単純な思考回路である。水泳のときもそう。毎日泳ぐという前提で、複数の水着、キャップ、ゴーグルを同時買って、それらを順に使った。そのほうが長持ちするということもある。
今回のジョギングのためにもウエアと靴に投資することにした。特に靴は重要だ。とはいえ、まだ初心者であるから、いきなり一足何万もする本格的なものを買うのはさすがに躊躇われる。そこで、ネット上で入門レベルとして推薦されている商品を入念に比較検討した結果、ナイキ、アシックス、ミズノの製品で、ほぼ同レベルで、同価格帯のものをそれぞれ一足ずつ(いや、ナイキはタイプの違う二足)、ほぼ同時に購入した。フランスでは、七月は夏のバーゲンセール期間で、靴も30~50%引きで売られているから、この期を逃してなるものか、というわけである。
そのうち届いているのは二足で、ナイキの一足目とアシックスの一足。昨日はナイキで走り、今日はアシックスで走った。随分感触が違う。特に踵が接地するときの反発が違う。まだどちらいいとは言えないが、自分の走り方にあったほうをいずれは選ぶことになるだろう。明日届くのはミズノ製。来週半ばにはナイキ製がもう一足届く。これだけ靴箱に並んでいるのを見れば、どうしても走りたくなりますよ。