今日のリモート発表は無事終了。参加者は私を含めて20名。海外からの参加は私のみで、他の参加者たちは皆日本在住。その多くは現役の大学教授か定年退官された元教授たち、みなそれぞれに世界の文学のいずれかの専門家で、中にはその分野において第一人者の方もいらっしゃった。発表後に頂いた質問はいずれも私が発表で言い足りなかったことを引き出してくれるありがたいものだった。私は今回が初めての参加であったが、自分の専門とは異なった分野の研究に対して広く関心を持つ先生方の集まりで、互いに開かれた議論の場としてよく機能している研究会だと思った。
今回の発表の準備期間と今日の発表と質疑応答を経て、今後しばらく追いかけていきたい一つの大きなテーマが浮上してきた。それは、神話と歴史との関係である。より正確に言えば、歴史の中における神話の創出、及びその構造と機能、ということになる。問いの形にして言い直せば、なぜ、何を契機として、どのような過程を経て、一つの神話が歴史の中で創出され、それが国家あるいは社会の中で一定の仕方で機能するようになり、そしていつか機能しなくなり、改変が施され、あるいは、別の神話に取ってかわられ、あるいは、忘却されていくのか、となる。
考察対象を日本の歴史と文学に限定し、テーマに直接関わる邦語文献のみならず、諸外国の研究を広く参照しながら、細々とではあっても息長く取り組んでいきたい。