物持ちはいい方だと思う。どんな物でも丁寧・慎重に扱うことを心掛けている。
スマートフォンももちろんそのような扱いの対象である。しかし、一つこだわりがある。それは傷がつかないように保護するプロテクト商品は一切使わないということである。ケチなのではない。なんか嫌いなのである。それで、iPhone6S Plus も購入したときのままの状態でずっと使ってきた。もう丸五年以上になる。それでもほとんど傷もなければ、汚れてもいない。画面に薄く引っかき傷のような線が短く入っているだけであった。画面は日に何度も磨く。日に一回は全体をアルコール消毒する。
それでも、昨年あたりから、いい加減新機種に買い換えようかと思い始めた。が、いつも結局思いとどまった。
ところが、一昨日、早朝ジョギングから帰ってきて、ジョギング用の薄型リュックに入れてあったスマホを取り出して見て愕然とした。画面の右上から左下にかけて、対角線上にひびが入っているではないか。なぜだ。落としたわけでもない、強い衝撃を与えたわけでもない。ジョギング中、リュックの中で揺すられていただけのはずだ。
少し冷静になって考えてみた。おそらく同じリュックの別のポケットに入れてあった自宅の鍵のせいだ。硬い金属製の鍵とナイロンの薄い仕切りだけでスマホの画面が向き合っていたのだ。迂闊だった。過去に数十センチの高さから硬いタイルの上に落としたことが何度かあったのだが、それでもまったく傷もつかなかった。しかし、画面は鋭角状の硬質なものが当たると弱いのだ。ひびのちょうど中央に何かそのようなものが当たった傷がはっきりと見える。複数ある鍵のどれのどこが当たったのかはわからない。鍵を別の場所に入れるか、画面を反対向きにしておけば防げたことだ。
機能に損傷はない。このまま使い続けることもできそうだ。しかし、それは嫌なのである。どうするか。これを機会に最新機種に買い換えようかとかなり気持ちが動き、ネット上で価格を調べた。機種にもよるが7万から10万円ほどの出費になる。私にとって、スマホはそれだけ出して買うほどのものではない。
画面だけ取り替えてもらうことにして、大学近くの修理業者に持ち込んだ。七千円ほどだった。すっかり新品同様になった画面を見て満足する。保護フィルムがサービスとして含まれている。それを断っても料金は同じなので、今回はそのきれいに貼られた保護フィルムを素直に受入れた。もうしばらくお付き合いを続ける。