内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

「恋愛」の語釈問題に敏感に反応する学生たち

2024-11-20 05:48:11 | 講義の余白から

 一昨日の学部三年生の「日本思想史」の授業で、「聴解練習補遺」と称して、『舟を編む ~私、辞書つくります』の第二話のなかの、先日修士の授業で話題にしたのと同じ箇所(11月6日の記事参照)を視聴させました。視聴前にその回までのドラマの粗筋をざっと説明しました。
 こちらの予想および期待に反して、視聴中に彼女彼らたちが特に反応したのは、11月6日の記事で引用した馬締光也の言葉に対してではなく、その前の場面で、岸辺みどりが「恋愛」の語釈について、どの辞書をみても「男女」とか「異性」という言葉が必ず入っていることに違和感を覚えることを馬締光也に向かって訴えているシーンでした。
 粗筋のざっくりとした説明の後、語彙説明も字幕もなしでいきなり視聴させたのですが、しかも一回視聴しただけにもかかわらず、彼女彼らのうちの多くが既存の辞書の「恋愛」の語釈の何が問題なのか理解していました。もちろん映像の力があったことは間違いありません。でも、それだけではなく、自分たちも日頃関心をもっている問題だったことが理解を容易にしたということもきっとあったと思います。
 こうした些細な成功体験(予習なしに、いきなり「そのままわかっちゃう!」という快感)は確実に学習意欲を高めてくれます。
 というわけで、「聴解練習補遺」を授業のレギュラー項目に昇格させることにしました。などと、もっともらしく昇格を正当化していますけれど、正直に言えば、どの作品のどの場面を選ぶか、その選定作業が楽しい、というのが本当の昇格理由です。つまり、動機は「不純」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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