ラテン語の「アルス ars」が近現代語の「アート art」の直接的な語源であることはみな知っている。ラテン語のアルスは、広い意味での技あるいは技法、及びその実行に必要な知識、そしてそれを使って何かを実現あるいは実行すること及びその結果を指す。文芸や学芸もアルスであるし、弁論術もアルスの一つであり、医術もまさにアルスの一つである。他方、靴職人の技も肉屋の包丁さばきもアルスである。ギリシア語のテクネーもほぼ同様な意味領域をカヴァーしている。
このアルスがいつアートになるのか。あるいは、いつアートはアルスから独立したのか。いや、そもそも両者の分離は可能なのか。むしろ、アルスとアートの関係をこそ問うべきではないのか。中世までのアルスが近代の技術に取って代わられたとき、その技術とアートとの間にどのような変化が起こったのか。両者はまったく別物になってしまったのか。
修士の学生の一人がこれらの問いを日仏合同チームでのテーマとして提案する発表を昨日日本語でしてくれた。わずか三分あまりの発表であったが内容的にも日本語としても見事な出来であった。喝采を送る。
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