応用言語学科英語・日本語併修コースの一年生向けの「日本文明入門」で、中間試験以後、日本の都道府県を北から順に紹介している。東京・京都・大阪などの大都市については彼らもいくらかの知識がすでにあるが、その他の地域となると、日本地図上の場所さえ覚束ないほど無知である。もちろんそれは彼らの落ち度ではなく、日本について彼らがこれまで触れてきた情報がそれだけ偏っていたことの反映にすぎない。
そこで、もっと日本の国土をその全域にわたってよく知ってもらいたいと思い、前期の後半は各地方の紹介にあてることにした。昨日は、長野、山梨、岐阜、静岡、愛知の各県を紹介した。その紹介の際には、県行政の公式サイトと観光の公式サイトを必ず見せる。これらのサイトのほとんどは地方自治体の自前の制作ではなく、民間ウェッブサイト制作会社へ委託されたものであろう。
県によって相当に出来の良し悪しに開きがある、これには予算の問題もあるだろうし、そもそも地方自治体がどこまで注力しているかにもよるだろう。
外国からの観光客や長期滞在を目的とした外国人も飛躍的に増えている近年、それだけ多言語での紹介が求められているわけだが、英語ヴァージョンはすべてのサイトで提供されているものの、その他の言語となると自治体間でかなりのばらつきがある。あっても自動翻訳に丸投げの場合も少なからずある。
英語以外では、中国語と韓国語は大多数のサイトで作成されており、ついでスペイン語、ポルトガル語、アラブ語などのヴァージョンが公開されている。これはその地域を観光客として訪れる外国人やそこに長期滞在しようとする外国人の国籍を反映していると思われる。フランス語ヴァージョンを作成している自治体はきわめて少数である。
その点、昨日紹介したなかで際立っていたのは岐阜県観光公式サイト「岐阜の旅ガイド」である。フランス語ヴァージョンの充実度が他の自治体を圧倒している。これにはいくつかの理由がある。岐阜県はフランスとの直接的な経済協力を重視しており、高山市とアルザス地方のコルマールとは友好都市である。それに、現在、岐阜市には、弊日本学科修士を今年修了した卒業生がJETプログラムの国際交流コーディネイターとして勤務していることからもわかるように、今後も岐阜県はアルザス地方との友好および経済協力に注力していく方針であると思われる。
このフランス語ヴァージョンのなかの白川郷のルポルタージュは、若干の表記の間違いと安易な文化主義的アマルガムが瑕瑾ではあるが、なかなかの出来である(その頁へのアクセスはこちらをクリックしてください)。学生たちもかなり興味をもったようである。
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