⑥のカセットも④⑤同様、ニューウェイヴでもなんでもない。むしろ相反する代物。
A面は「軽音楽をあなたに」で特集されたピンク・フロイド。先に話したベスト(?)盤的「時空の舞踏(A Collection Of Great Dance Songs)」より。
B面は、まだヘヴィーメタルという呼び方も浅いころの新譜曲が中心。
A面は、曲順を間違って書いてしまった。修正液が高価でふだん使えなかったから、仕方なく定規で消した跡が残る。
ピンク・フロイドで初めて出会った曲は「吹けよ風、呼べよ嵐」。それは70年代小学生の頃。
毎週土曜日の夕方見ていたプロレス、ブッチャーの入場曲だった。
あるいは夜のピンク番組のバックでかかる「虚空のスキャット」(狂気/ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン)。
光る画像加工がされたヌード女性が恍惚とする後ろで鳴っていた。
洋楽という意識で出会ったのは、1979年シングル「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」。そして、この曲を収録した2枚組アルバム『ザ・ウォール』。
レコード屋さんに飾られたヒプノシスのLPジャケットを想い出す。
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B面のサクソンは、1980年ミュージックカセットで「鋼鉄の掟」を聴いていた。
今思えば、YMOやボズ・スキャッグスを聴いていたのと同時期で不思議なことだが、かっこよかった。
いろんな音楽が違和感なく、じぶんのなかで共存していた。
マイケル・シェンカー・グループも同じで、土曜13時からの「ポップス・ベストテン」で聴いたシングル「クライ・フォー・ザ・ネーション」(1980年)に始まる。
その後来日し、NHK-FMで放送されたライヴを録音したテープを繰り返し聴いた。特によかったのが「イントゥ・ジ・アリーナ」というインストゥルメンタル曲。
このライヴテープはのちにお金がなく、目の前のエアチェック番組に迫られて上書きしてしまった。
⑥カセットに収まるサクソンは「鋼鉄の掟」の次作品「デニム・アンド・レザー」。
マイケル・シェンカー・グループの曲は、「神」の次のアルバム「神話」に収録されている。
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このカセットのなかで一番今と糸口が少ないのは、サッド・カフェだろう。
「サッド・カフェ」といえば、イーグルス最終アルバム「ザ・ロング・ラン」(1979年)のB面最後の切ない曲。
カセットテープ自体は今やない⑥だが、ネット動画のおかげでひさしぶりにサッド・カフェの曲を聴けた。
「10CCのメンバーがプロデュースを買って出た・・・」と雑誌にある。
単純に「良いなあ」と思う。(だからカセット録音で残したのだろうが)まったくの盲点だった。
■Sad Cafe 「Follow You Anywhere」1981■