今年五月の《手造の旅》デンマークでお世話になったステファンさんご一家が来日された。それでは今度は我々日本側がおもてなしいたしましょう!
⇒※五月の旅の様子はこちらからごらんください。ステファンさんのご自宅は5月27日のところに出てきます
京都専門のガイドさんをお願いして、あれこれアイデアを考えていただいた。
5月22日は時代祭。見物席の券も用意した。 夜は「京都三大奇祭」のひとつ「鞍馬の火祭」を観に行くつもりだった。
あぁ、それなのに! 今日は台風二十一号が接近中、無情の大雨を降らせている。
時代祭は前々日に中止となった。
※順延もなく中止になるのは、時代祭百数十年の歴史ではじめてのことだったそうです
かわりに、朝一番で訪れたのは「龍谷ミュージアム」。京都駅から歩いて十分ほど。
ちょうど「地獄絵ワンダーランド」という展覧会をやっている。
地獄のイメージというのは世界中で似ているから、これならば言葉がわからなくても、かなり楽しんでいただけそうだ。
学芸員さんにお願いしてちょっとだけ説明していただいたのは、「大谷探検隊」が発掘にかかわったベゼクリク千仏洞のレプリカ。
小松としては、百年前に中国西域を探検していたのはヘディンなどのヨーロッパ人だけではなく、日本人も西域発掘にかかわっていたこと知っておいてほしかったのであります。
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「龍谷ミュージアム」に一時間ほど滞在して、12時にすぐ前の西本願寺へ移動。
ここでもお坊さんに案内していただいた。
本堂は江戸時代初期のものがしっかり残っている。江戸時代には二度の大火があったが、傍にある日本の大銀杏が水を吹いて守ったという伝説がある↓
本堂から見た大銀杏の一本がこれ↓
黒光りする床は江戸時代の大工さんのあそび心あふれる修復の跡がたくさんのこされている↓
「一富士、ニ鷹、三なすび」なんてのもあったが、これを外国人にどう説明すればよいのかしらん(笑)
若いデンマーク人学生が目を留めたのは、照明器具の下の部分に付けられている龍の模様↓
「龍は宝珠を追いかけるのです。この絵では手に持っているのです」と説明すると、
「あぁこれがドラゴン・ボールなんですね」と納得された。
西本願寺本堂に鎮座している親鸞の像には、彼の遺骨の一部が埋め込まれているという・・・
こういう話をいろいろするのだけれど、そもそも「親鸞とはどういう人なのか」を外国人にどのように説明するのか、なかなか難しい。
「西欧ではちょうど聖フランチェスコの時代に、この親鸞も同じように仏教の改革を目指して活動していました」
と、説明してみたが、少しは親鸞のことを身近に感じていただけたかしらん。
西本願寺でいちばん古い建造物は、安土桃山城から移築されたという通称「日暮門」である。
この彫刻は実にみごと↓
★日暮門 はたしかに、日が暮れるまで見入ってしまうような彫刻でいっぱいだ
案内のお坊さんにひとつ教えてもらった話↓
耳を洗う隠遁学者↓
牛をひっぱる牛引き↑
この彫刻は中国の故事に基づく。
☆ある国の施政者が、高名な隠者に宰相になってもらおうとやってきた。この話を聴いた隠者は「そんな話を聴かされて耳が汚れた」と、耳を洗った。
☆通りかかった牛飼いが「なぜ耳を洗っているのですか?」と訊ねたので事の次第を話すと…「そんな耳を洗った汚い水を、大事な牛に飲ませるわけにはいかない」と言って、牛を水場からひっぱっていってしまった。
こういう話は割に通訳しやすい(笑)
西本願寺前からバスで北上。ガイドさん知り合いの老舗醤油屋さんを訪れる。小さな店舗だが一見の価値がある。巨大な樽が六個。一年で一万リットルに満たない生産量↓雨はまだ降り続いている↓
樽には梯子がかけてあって、中をのぞかせてくれる↓
今もふつふつと発酵がつづいている↓
小松はこのおかきがとっても気に入りました(^.^)
醤油とひと口に言っても、いろんな味があるということが、味見していただいて実感していただたかしらん。
次はお菓子屋さんへいきましょう。京都銘菓「雲龍」をうみだした「俵屋吉富」さんで、お茶とお菓子をいただきました↓
※上は雲龍ではありませんが
京銘菓「雲龍」という名前は、近くの相国寺が所蔵する龍の絵から命名されたそうな。
→俵屋吉富さんのHPより
その相国寺で秋季特別公開中「鳴き龍」を見ていただこうとお連れしたら・・・
なんと!台風接近のため「鳴き龍」が天井に描かれているお堂はクローズしていました(泣)
幸い博物館は開いていたので、閉館前の一時間、新しい博物館で雪舟の描いた達磨などを見ていただけた。
ここでも、絵の主題をどう解説するか考える。ただ見るだけで楽しめる絵もあるが、こういった宗教的主題は特に、その背景を理解することが大切。相国寺が禅宗で・達磨が禅の創始者であって,,というような話を、デンマークの人におもしろいと思って理解していただけるように話したい。
閉館の五時、薄暗くなって、風雨は強くなるばかり。
夕食に向かう途中、出町柳の商店街を通る。ここは錦小路などとちがいほとんど観光化されていない。デンマーク勢、気に入られた様子です↓
どんな国でも市場は楽しいですね(^.^)
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さて、お楽しみの夕食は、老舗味噌店の二階にあるお店にて↓その美しさでまず楽しませてくれる↓解説は他日…
西京焼きはこんなお盆にのって登場↓
一度素揚げした茄子を焼いて↓
さいごはさすがの漬物寿司↓
レストランの窓から見える通り。音は聞こえなくても風雨が街路樹をびゅうびゅうとなびかせている。人影もまばら。電車も一部止まったようだ。鞍馬の火祭は神事なので開催されるようだが、「今日はもう十分たのしみました」とのことで、四条のホテルへ戻ることになる。
地下鉄の車両も貸切状態…「日本じゃないみたいね(笑)」
また、デンマークへの《手造の旅》企画してみたい。
今回、京都の専門ガイドさんにご案内していただいて、《手造の旅》「あなたの知らない京都」企画してみたくなりました(^.^)