「文化財」は保存するだけでは朽ちてしまう。
未来に受け継ぐための作業を見学した。
※地下の公益財団法人は唯一国宝を修復できる組織、全国で十の団体が活動している
写真撮影不可
●當麻寺仁王像
★搬出時の様子をスタッフの方がブログに載せておられます
スタッフブログにも書かれているように、阿形像は身体全体がミツバチの巣になっていた。
「口から出入りできたので『阿』を選んだのでしょう(笑)」
ニホンミツバチは希少なので駆除せず、「ひっこし」してもらうように近くに巣箱を置いて促した。
なかなか思うようにいかなかったので強制的に女王バチに「ひっこし」してもらって、仁王像を空にした。
木造下部には三十年の間新陳代謝してきた巣が堆積していた。
頭の内部にも巣があり、仁王のガラスの目からミツバチが動いているのがみえるほどだった。
解体してみるとガラスの眼球は昭和の修理で埋め込まれたものでその時の彩色はすっかりなくなっていた。
修復現場で解体された仁王像の部材を見ることができる。
頭部も鼻の部分から左右に真っ二つになっており、昭和のガラス眼球が意外に大きいのがわかった。
●當麻曼荼羅
(たいまでら)といえば天平時代の巨大曼荼羅(国宝)が有名。
これが今ここにあるのかとおもったら、江戸時代に製作されたレプリカの修復なのだそうだ。
「レプリカ」は時代のちがういくつものヴァージョンがあり、どれも国や県の重要文化財指定をうけている。
※當麻曼のHPにリンクします
巨大な「レプリカ」が裏返しに置かれているのが遠目に見えた。
「間近に見てどうでした?」と質問したら
「修復のほとんどは裏打ちされた古い紙を丁寧にはがしてあたらしいモノに代えていく作業なので、表から見る機会は私たちでもほとんどないのです」とのお答え。
たしかに刷毛でたんねんにトントンやっている。
修復には専用に作られた宇陀紙を使うと指定されているのだそうだ。
宇陀紙はしかし今では一軒しか製造しているところがない。
※福西和紙本舗にリンクします
そして、宇陀紙は「選定保護技術」に指定されているが、材料をつくる人々が消滅するのが危惧されている。
●光道寺木造四天王立像★大和郡山市の修復開始のニュースにリンクします
無住の寺なので通常は公開していないし、現地では暗い場所にかたまって置かれていてよく見えなかったらしい。
今、目の前にある広目天は解体されて両腕がない状態ではあるがはっきりと見ることができる。
「腕の接合部をはずしてみた結果、どうやら別の像の腕がつけられていたとわかりました」
なんと、江戸期?あたりの修理で解体された際に別の像の腕がつけられたらしい。
それが他の三っつの像のうちどれなのかは、今後の解体でわかっていくだろう。
奥の方に光背をつけたままの二体が見えた。
●西大寺の軸
全長七メートルの軸が巻いたまま置かれていた。
何が描かれたものかはわからない。
「これはどこからも文化財指定を受けていないので修復費用は全額私費になります。文化財指定をうければ、費用の半額が国や県などから援助されますが、そうでないものは所有者がたいへん苦労されます」
この軸を修復するにも五百万円はかかるのだそうだ。
「こちらの場合はクラウドファンディングを募集され、幸い成功されました」
一階の天理市文化財課
●多坐弥志理都比古神社(おおいますみりしつひこじんじゃ)
なるほど↓この社を修復していたのか
地域の文化財課が担う役割はとてもおおきい。
今朝訪れた石上神宮(いそのかみじんぐう)で出土した銅鐸は、当時の慣習として「すばらしいものが出てきたから皇室へ献上」されたのだそうだ。それが今修復のために地元?へ里帰りしていた。
*******
修復センター前のある敷地に一軒だけあるレストランが「まるカツ」
ここしか選択肢がなかったので入ったが、壁一面の張り紙が気になる↓
「前世で働いていた気がするとんかつ屋ランキング一位(当社調べ)」って何(笑)
そこそこ待たされているあいだに端から読んでしまった。
これをずらりと並べる店長ってどんな人なんだろう?
やがて↑はこばれてきた牡蠣フライとロースの定食+大和とろろ芋
食べようとしたとき、テーブルにソースがないことに気付いた。
てきぱき動いている慣れた店員さんに声をかけると、「はい!ただいまうかがいます●番さんにソース」と新人さんに声をかけた。根拠などないのだが、マニュアルでやっているのではなく心から仲間のスキルをあげようという気持ちが感じられた。「やらされている感」がまったくなかった。
仕事はお金のためにすることかもしれないが、まったく楽しめないで仕事をするのは心にワルイ。
ボリュームだけでなく、めっぽう美味しい。待つ価値がある(^^)
はぐはぐ食べている間に会計のほうから「店長からワイロです」という声がきこえていて、なんだろうと思っていたら…
自分も会計で「賄賂」を渡された↓
もちろん次回以降のクーポン券などです(笑)
店を出る時にはすっかり「また来たい」気持ちになっていた。
あとから調べてみると、「まるかつ」の店長金子さんはテレビ番組「逆転人生」にもとりあげられた人だった。
HPも、彼の気持ちが満載だ。特に従業員募集の頁に書かれている言葉を読んでほしい。
※まるかつのHPにリンクします
「まるかつに合わない人」の項に下のような言葉がある
仕事に命をかけようと思っている人、自分を犠牲にしようと思う人(そこまで頑張って欲しくはありません)
命をかけてナニかをやるというと聞こえはよいが、周囲の人にそれを求めてはいけない。
金子さん自身が自分を大事にしている人だから、周囲の人も自分自身を大切にしてほしいと思っている。
それが伝わってくる店だった。
未来に受け継ぐための作業を見学した。
※地下の公益財団法人は唯一国宝を修復できる組織、全国で十の団体が活動している
写真撮影不可
●當麻寺仁王像
★搬出時の様子をスタッフの方がブログに載せておられます
スタッフブログにも書かれているように、阿形像は身体全体がミツバチの巣になっていた。
「口から出入りできたので『阿』を選んだのでしょう(笑)」
ニホンミツバチは希少なので駆除せず、「ひっこし」してもらうように近くに巣箱を置いて促した。
なかなか思うようにいかなかったので強制的に女王バチに「ひっこし」してもらって、仁王像を空にした。
木造下部には三十年の間新陳代謝してきた巣が堆積していた。
頭の内部にも巣があり、仁王のガラスの目からミツバチが動いているのがみえるほどだった。
解体してみるとガラスの眼球は昭和の修理で埋め込まれたものでその時の彩色はすっかりなくなっていた。
修復現場で解体された仁王像の部材を見ることができる。
頭部も鼻の部分から左右に真っ二つになっており、昭和のガラス眼球が意外に大きいのがわかった。
●當麻曼荼羅
(たいまでら)といえば天平時代の巨大曼荼羅(国宝)が有名。
これが今ここにあるのかとおもったら、江戸時代に製作されたレプリカの修復なのだそうだ。
「レプリカ」は時代のちがういくつものヴァージョンがあり、どれも国や県の重要文化財指定をうけている。
※當麻曼のHPにリンクします
巨大な「レプリカ」が裏返しに置かれているのが遠目に見えた。
「間近に見てどうでした?」と質問したら
「修復のほとんどは裏打ちされた古い紙を丁寧にはがしてあたらしいモノに代えていく作業なので、表から見る機会は私たちでもほとんどないのです」とのお答え。
たしかに刷毛でたんねんにトントンやっている。
修復には専用に作られた宇陀紙を使うと指定されているのだそうだ。
宇陀紙はしかし今では一軒しか製造しているところがない。
※福西和紙本舗にリンクします
そして、宇陀紙は「選定保護技術」に指定されているが、材料をつくる人々が消滅するのが危惧されている。
●光道寺木造四天王立像★大和郡山市の修復開始のニュースにリンクします
無住の寺なので通常は公開していないし、現地では暗い場所にかたまって置かれていてよく見えなかったらしい。
今、目の前にある広目天は解体されて両腕がない状態ではあるがはっきりと見ることができる。
「腕の接合部をはずしてみた結果、どうやら別の像の腕がつけられていたとわかりました」
なんと、江戸期?あたりの修理で解体された際に別の像の腕がつけられたらしい。
それが他の三っつの像のうちどれなのかは、今後の解体でわかっていくだろう。
奥の方に光背をつけたままの二体が見えた。
●西大寺の軸
全長七メートルの軸が巻いたまま置かれていた。
何が描かれたものかはわからない。
「これはどこからも文化財指定を受けていないので修復費用は全額私費になります。文化財指定をうければ、費用の半額が国や県などから援助されますが、そうでないものは所有者がたいへん苦労されます」
この軸を修復するにも五百万円はかかるのだそうだ。
「こちらの場合はクラウドファンディングを募集され、幸い成功されました」
一階の天理市文化財課
●多坐弥志理都比古神社(おおいますみりしつひこじんじゃ)
なるほど↓この社を修復していたのか
地域の文化財課が担う役割はとてもおおきい。
今朝訪れた石上神宮(いそのかみじんぐう)で出土した銅鐸は、当時の慣習として「すばらしいものが出てきたから皇室へ献上」されたのだそうだ。それが今修復のために地元?へ里帰りしていた。
*******
修復センター前のある敷地に一軒だけあるレストランが「まるカツ」
ここしか選択肢がなかったので入ったが、壁一面の張り紙が気になる↓
「前世で働いていた気がするとんかつ屋ランキング一位(当社調べ)」って何(笑)
そこそこ待たされているあいだに端から読んでしまった。
これをずらりと並べる店長ってどんな人なんだろう?
やがて↑はこばれてきた牡蠣フライとロースの定食+大和とろろ芋
食べようとしたとき、テーブルにソースがないことに気付いた。
てきぱき動いている慣れた店員さんに声をかけると、「はい!ただいまうかがいます●番さんにソース」と新人さんに声をかけた。根拠などないのだが、マニュアルでやっているのではなく心から仲間のスキルをあげようという気持ちが感じられた。「やらされている感」がまったくなかった。
仕事はお金のためにすることかもしれないが、まったく楽しめないで仕事をするのは心にワルイ。
ボリュームだけでなく、めっぽう美味しい。待つ価値がある(^^)
はぐはぐ食べている間に会計のほうから「店長からワイロです」という声がきこえていて、なんだろうと思っていたら…
自分も会計で「賄賂」を渡された↓
もちろん次回以降のクーポン券などです(笑)
店を出る時にはすっかり「また来たい」気持ちになっていた。
あとから調べてみると、「まるかつ」の店長金子さんはテレビ番組「逆転人生」にもとりあげられた人だった。
HPも、彼の気持ちが満載だ。特に従業員募集の頁に書かれている言葉を読んでほしい。
※まるかつのHPにリンクします
「まるかつに合わない人」の項に下のような言葉がある
仕事に命をかけようと思っている人、自分を犠牲にしようと思う人(そこまで頑張って欲しくはありません)
命をかけてナニかをやるというと聞こえはよいが、周囲の人にそれを求めてはいけない。
金子さん自身が自分を大事にしている人だから、周囲の人も自分自身を大切にしてほしいと思っている。
それが伝わってくる店だった。