旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

奈良最古の醤油蔵マルトに泊まる

2022-12-25 15:05:07 | 国内
七十年間使われていなかった蔵に、麹菌は生きていた。

マルト醤油は元禄二年(1689)の操業だが、戦後のモノがない時代に一度蔵を閉じている。大豆と小麦の調達が困難になり、代用醬油をつくるのを潔しとせず、苦渋の決断をした。
※マルト醬油のサイトにリンクします
「祖父がどんな想いで店を閉じたのか…」
その時代を知らない孫が蔵を復活させようと決意しても、それが可能なのかはやってみなければ分からなかった。
「発酵がはじまったときはほんとうに嬉しかったです」
案内してくださった現18代目の言葉から喜びが伝わってきた。
2020年、約七十年ぶりに醬油蔵+宿として復活。
※奈良の情報発信サイトにリンクします

↓奈良盆地の中央を流れる大和川が、蔵から50メートルほどのところにある↓

↑家の間から大和川の土手が見えている↑商都大阪まで直結。
川の港が大きな役割を果たしていた時代・鉄道や道路が発達する以前の隆盛を思う。

「子供がたくさんいた時代には土手に大きな鯉のぼりを立てていたんだそうです」
↑作業場の梁に、指摘されなければわからない鯉のぼりの竿が布にくるまれていた↑

↑現在客室になっている扉の入口が鳥居の形状↓

この棟にある三室は醤油の原材料となる大豆、小麦、塩の貯蔵庫だった。
原材料に敬意を払うためのデザインである。

蔵から重い材料を出し入れするのに使われていた滑車が見える↑

↑滑車の下あたり↑今は埋め込まれてしまった桶の跡がある

↑当時からの井戸は今も同じ水を供給している
あとから思い出した時、このなにげない水こそがマルト醤油にとって代えられない要素なのではないかと思った。

昭和になってから使われていた搾り機↓

↑後ろの巨大な木の穴にテコの棒があって醤油を絞っていたのだろう。


小松も絞りを体験させていただいた。

ゆっくり、ゆっくり…

この生醤油をもっとも効果的に味合わうために用意してくださったのが…

↑少し炙った葛餅。
ちょっと垂らすと、予期しない甘さがひろがった。
醤油がこういう味わいになるんだ。
どこの冷蔵庫にも入っている類の醤油ではこういう味はしない。

たぐい稀なファミリー・ヒストリーも、
醤油蔵見学も興味深いけれど、
醤油をテーマにして供される食に大きな魅力がある。

※こちらに写真入りでできるだけ書きました。ぜひご覧ください(^^)


中庭から見上げる空に冬のオリオン

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする