傑作中の傑作だと思う。
ミステリーの分類になるとは思うが、
分類をはるかに超越した仕上がり。
決して宮部ファンではないし、
逆にたかだか娯楽小説と小馬鹿にしてる節もあるくらいなのだが、
この小説に限っては手放しで絶賛したい。
主人公の人物像掘り下げが何よりも素晴らしく、
何もない空間から
主人公の輪郭を浮き彫りにし、
徐々に美しく色づけし、
そこに人がいるかの如くリアルに描きだし、
しかしながらそれは後姿のみを描き、
まさに主人公の横顔が見えようとするその直前で
ふと消えてしまう。
幕の引き方もこれ以上のものはみたことないなあ