読み物として面白さ第一とした
若かりし頃の長編。
「以下余談ながら」がほとんど見られず
晩年の「司馬らしさ」はほとんどない。
剣客ものから
司馬史観への過渡期ともいえる。
慶長の役の翌年秀吉が没し
天下取りに向けた
家康の遠謀深慮と
秩序維持に奔走する三成との戦いが始まる。
中でも愁眉たるは
なんて爽やかな!
なんて爽やかなその幕引き!
家康の腹芸に当てられ
食傷気味になったところへ
風のような如水を登場させるとは・・・
関が原を魑魅魍魎の政治世界になぞらえた
高坂正堯のあとがきも面白かった。