国際エネルギー機関(IEA)は10月16日、2024年版の「世界エネルギー・-展望」を公表した。
太陽光など再生可能エネルギーの普及で、2030年代半ばに原子力を含む低炭素のクリーンエネルギーが「最大のエネルギー供給源になる」との予測を示した。
一方、世界の石油需要は2030年までにピークを迎え、減少に転じると見通した。
日米欧を中心とした主な石油消費国でつくるIEAは近年、気候変動対策の旗振り役として存在感を高めている。
主要産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)は9月、2050年の石油需要が2023年比で18%増えるとの予測を公表しており、両者で異なるシナリオを発信している。
IEAは、各国が脱炭素化に向けた表明済みの政策を実行するシナリオでは、クリーンエネルギーが2030年代半ばに石油を上回って最大のエネルギー供給源となり、2050年時点で全体の約4割に達すると予想した。
クリーンエネルギーヘの投資額は2024年に約2兆ドル(約300兆円)となり、化石燃料の2倍となる見通しだ。
だが、2050年に脱炭素化を達成するより厳しいシナリオでは、2030年までに年間4・5兆ドルの投資が必要であると訴えた。
IEAのビロル事務局長・は、クリーンエネルギーについて「温室効果ガスの排出削減だけでなく、不安定で混乱しがちな燃料への依存を減らすための解決策となる」として、導入を加速する重要性を強調した。