農林水産省の審議会は3月21日、インバウンド(訪日客)の「食」に関連する消費額を2030年に現在の3倍となる4兆5千億円にまで引き上げる目標を決めた。
少子高齢化で日本人の消費が縮小する中、コメや牛肉に対する旺盛な海外需要を取り込むことで、生産強化を図る。
ただ急拡大に向けた具体的な施策は今後の課題で、実現への道は厳しそうだ。
農業政策の方向性を決める「食料・農業・農村基本計画」をまとめ、5年後に達すべき数値を設定した。
訪日客の食関連消費の数値を盛り込むのは初めて。
5ロリーベース)を45%に引きげる目標は据え置いた。
近く閣議決定する。
農水省によると、国内の飲食料品の消費は70兆~80兆円程度で推移しているのに対し、訪日客の食関連消費は2023年時点で1兆6千億円だった。
日本で和食に親しんでもらう機会を増やし、輸出拡大にもつなげる狙いがある。
一方、訪日客を目当てに食品や飲食店で値上げが一層進む可能性もある。
農林水産物・食品の出額は5兆円(2024年は約1兆5千億円)とした。
29の重点品目を設定し、中でもコメは2024年の136億円を922億円まで拡大させる。
食品産業の海外展開による収益も3兆円(2022年に1兆6千億円)との目標を定めた。
需要に応じ生産量も拡大させる。
コメは2023年の791万トンから818万トンに増やす。
輸入に依存する穀物も国産への切り替えを進め、小麦は109万トンから137万トン、大豆は26万トンから39万トンとした。
こうした措置により、食料自給率は2023年度の38%から2030年度に45%を目指す。