製薬大手エーザイは9月28日、記者会見を開き、米バイオジェンと開発中の認知症のアルツハイマー病に対する新薬「レカネマブ」について、最終段階の臨床試験(治験)で症状の悪化を抑制する効果を確認したと発表した。
日本で本年度申に承認を申請し、2023年中の承認を目指す。
レカネマブは、病気の原因とされる脳内に蓄積して神経細胞を壊す「アミロイドベータ」の除去を狙った新しいタイプの薬。
国内ではこれまでに症状を和らげる薬は実用化されているが、原因に直接働きかけ、進行を遅らせる薬は承認されていない 。
会見した内藤最高経営責任者(CEO)は「介護負担が軽減されるなど、前向きなインパクトを社会にもたらすと期待する」と述べた。
治験は日本や欧米、中国でアルツハイマー病早期患者の1795人を対象に実施。2週間に1回の静脈注射でレカネマブを投与したグループと偽薬のグループを比較した。
開始から1年半後、記憶や判断力などの認知機能や身体活動などを総合的に調べた結果、レカネマブのグループでは、症状の悪化が乱%抑制された。
効果は開始半年から確認。
画像検査では投与された12~17%に、副作用とみられる脳の浮腫や出血などが確認されたが、多くは無症状かつ一時的なもので、制御可能という。
両社は先行して似た仕組みの治療薬「アデュカヌマブ」を開発したが、厚生労働省専門部会は昨年12月、有効性を明確に判断するのが困難として承認を先送りした。
レカネマブはその後続薬。
アミロイドベータにより効率的に働きかけることが特徴という。
レカネマブは昨年12月、米食品医薬品局(FDA)で迅速審査の指定を受け、審査中。
両社は米国や欧州でも2023年中の承認を目指している。