バリウム検査を巡っては「胃カメラより精度が低い」「時代遅れ」「外国ではやっていない」といった指摘があり、胃カメラについても「えずきやすいのでつらい」「時間がかかる」といった声がある。
(1)バリウム検査のメリット、デメリット
胃の全体像を一度に観察できる点が強み。
内視鏡検査より検診費用を抑えられることや実施している施設が多いこともメリットといえる。
胃の壁の中にしみ込むように広がって、胃の粘膜の表面にあらわれない「スキルス胃がん」は内視鏡検査では診断しにくい場合もあり、バリウム検査で見つかるケースもある。
一方で、白黒の濃淡で観察するため、粘膜の色の変化やわずかな凹凸を捉えるには向いていないことが弱点ともいえる。
ほかにも、検査後、腸の中でバリウムが固まって便秘が起こりやすいため、下剤を飲む必要があり、それを負担に感じる人もいる。
また、異常が見つかった場合、内視鏡検査を受ける必要があり、最初から、内視鏡による検診を選択した場合より効率が悪いという考え方もある。
(2)胃カメラ検査のメリット、デメリット
潰瘍を作らない、ごく早期のがんを色の変化で見つけることができるのが強みだ。
また、必要があれば、異常が疑われる場所の組織の一部を検査中に採取し、それを病理検査で調べ、確定診断できることもメリットといえる。
難点は喉の麻酔が必要なこと、エックス線検査と比べて、検査時間が長いこと、実施施設が少ないこと、費用がかかるという点があげられる。
また、内視鏡の管が喉を通過するときや、検査中の胃を膨らませたときなどに苦痛を感じるという人が多く、そうした負担はデメリットとも考えられる。
一概には言えないが、バリウム検査はスクリーニング検査として効率がよいとは言えず、「時代遅れ」と捉えられても仕方ない。
しかし、都市部で内視鏡検査を実施している施設や医療機関が複数あっても、胃がん検診としての内視鏡検査を1日に実施できる人数が限られていることが多いため、「予約を取りにくい」という実情もあり、そうしたことから、バリウム検査を選択する人も多いようだ。