北朝鮮による日本人拉致問題を巡り、日本政府が北朝鮮との非公式接触で、被害者帰国と真相解明を図るため平壌に連絡事務所を設置したいとの意向を打診していたことが10月14日までに分かった。
連絡事務所を拠点に交渉を続けながら、本人と確認された被害者を順次帰国させることも視野に置いているという。
複数の日朝関係筋が明らかにした。
また、2020年東京五輪・パラリンピックでの北朝鮮選手団の受け入れ協力や植民地支配を巡る「過去清算」の用意など、関係改善に向けた数項目の取り組み方針も伝えているという。
金朝鮮労働党委員長が韓国や米国、中国と首脳外交を展開している状況を捉え、日本独自のアプローチで日朝首脳会談実現に向けた環境整備を進める一環とみられる。
しかし、北朝鮮の反応は鈍いとされ、局面転換につながるかどうかは不透明だ。
連絡事務所設置は、2014年の拉致被害者再調査を含むストックホルム合意に記された「日本側関係者による北朝鮮滞在」を具体化させるもので、北朝鮮が実施した再調査を検証することを基本に被害者確保と帰国につなげる意図とみられる。
今年7月半ばに北村内閣情報官が北朝鮮のキム・ソンヘ統一戦線策略室長とペトナムで接触しており、この際にもこうした日本の取り組み方針を説明した上で、日朝首脳会談を開催する必要性も伝えたもようだ。
同筋によると、北朝鮮に打診したのは、(1)平壌に連絡事務所を設置、(2)拉致被害者の生存が確認され次第、順次帰国させながら信頼関係を積み上げる、(3)2002年の日朝平壌宣言に沿った「過去清算」の用意、(4)2020年東京五輪・パラリンピックでの北朝鮮参加への協力など。
日本はトランプ米大統領や文韓国大統領を通じ、日朝首脳会談への意欲を金委員長に伝えている。