政府は11月27日、自民党の提言を踏まえて検討してきたNTT法の廃止を、当面見送る方針を固めた。
規制緩和でNTTの経営の自由度を高める狙いがあったが、通信大手各社は公正な競争が阻害されるとして強く反対、自民党側で廃止論を主導した甘元幹事長が10月の衆院選で落選し、政治情勢が変化したことも廃止見送り方針につながつたとみられる。
NTT法の見直しを議論する総務省の有識者会合は11月27日、NTT法の廃止の是非に関して、総務省の判断に委ねるとした最終報告書をまとめた。
総務省は来年の通常国会にNTTの義務を緩和する内容を盛り込んだNTT法改正案を提出する。
NTTに対して、過疎地や離島など採算の悪い地域も含めて全国一律で固定電話網の提供を義務付けている現行制度を巡っては、負担軽減のため、他の事業者がサービスを提供できない地域に限定して義務を負う仕組みに変える。
改正案には、NTT東西の持つ電柱などの設備は日本の通信インフラを支える重要な役割があるとして、譲渡や処分を自由に行えないように認可対象とすることなども盛り込まれる見通しだ。
NTT法の廃止を検討してきた背景には、日本の通信技術の国際競争力強化につながるとの期待があった。
自民党のプロジェクトチームが昨年12月、外為法や電気通信事業法を改正し、NTT法の廃止を求める提言をまとめていた。
ただ、他社との共同開発の支障になるとして問題視された研究結果の開示義務は、今年4月のNTT法改正で撤廃された。
廃止に前向きだったNTTの島田明社長も10月、記者団に対して「残った課題があるので、今の段階で廃止は無理だ」との見方を示していた。
また、バカな判断をしてしまった。