消費税のうち各都道府県の取り分となる地方消費税の配分方法を巡り、財務省がまとめた改革案が10月29日判明した。
税収の大半を消費順に基づいて割り振る現行基準を全面的に見直し、15歳未満と65歳以上の「老齢・年少人口」の比率に応じて全て配分する。
高齢化に配慮しつつ、都市部に偏りがちな税収を地方に手厚くし、人口1人当たりの地方消費税収が最大の東京と最小の沖縄で1.6倍ある格差を是正する。
10月31日の財政制度等審議会で提案する。
政府、与党が年末に議論する2018年度税制改正のたたき台となるが、減収となる東京など都市部の自治体の反発は必至で、激しい攻防が予想される。
地方消費税は消費税率8%の1.7%分に当たる。
2016年度税収は約4兆7千億円(決算見込み)。国が自治体に代わり徴収し、「清算基準」に沿って各都道府県に割り当てる。
現在は税収の75%を消費額、17.5%を人口、7.5%を従業員数に基づいて配分しており、このうち人ロは老齢や年少といった年齢構成で調整していない。
消費額は商業統計などに基づいたデータを採用しているが、都市部の店の都道府県をまたいで買い物に行くケースなど消費額が都市部の自治体に計上されやすく、消費実態を正確に反映していないとの指摘がある。
今回の財務省案は、消費額や従業員数に基づく配分を完全になくし、子どもと高齢者の人ロによる基準に一本化するのが特徴だ。
地元での消費額や働く先が相対的に少ない地方に配慮した。
消費税収が高齢者や子育て世帯を対象とした社会保障費に充てられている点も踏まえた。
地方消費税は税収のぶれが少ない安定財源で、これまでも格差是正に向け段階的に見直されてきた。
与党は昨年末に決めた2017年度税制改正大綱に「人ロ比率を高めるなど抜本的な方策を検討し、結論を得る」と明記し、さらなる改革の必要性を指摘していた。