厚生労働省は、介護職員が高齢者を虐待した件数が2023年度は1123件に上り、3年連続で過去最多を更新したと発表した。
前年度から31・2%増え、初めて千件を超えた。
職員に通報を促す事業所の環境づくりが進み、把握できる件数の増加につながったとしている。
1件で複数の被害者がいるヶIスもあり、被害者は計2335人。
うち5人が死亡した。
家族や親族らによる虐待は2・6%増の1万7100件。
認知症の症状を要因に挙げたケースが56・4%で最多だった。
被害者のうち27人が死亡した。
介護職員による虐待の種別は、暴力や身体拘束といった身体的虐待が51・3%で最多。
暴言などの心理的虐待が24・3%、長時間放置などの介護放棄が22・3%と続いた。
発生要因は「虐待や権利擁護、身体拘束に関する職員の知識・意識不足」が77・2%と最多だった。
次いで、「ストレスなど」(67・9%)だった。
厚労省は2024年度から、虐待防止や通報に関する職員研修を事業所に義務付けた。
2023年度から前倒しで取り組む事業所もあったため、件数が伸びたという。
厚労省は2023年度の件数増加を受け、事業所に研修強化などを要請した。
職員による虐待件数はI市町村が相談・通報を受け、事実関係を確認したケースを集計。
2023年度の市町村への相談・通報は前年度比23・1%増の3441件だった。
調査は高齢者虐待防止法に基づき2006年度から集計している。