ロシアが極東で軍備を増強している。
北方領土や千島列島で新型ミサイル配備を進め、昨年末にウラジオストクで最新鋭の地対空ミサイルシステムの運用を開始。
北朝鮮の脅威を理由に米国が進める軍事力強化、特にミサイル防衛(MD)網構築に対抗する狙いがある。
ロシアは、米国の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の日本導入の動きにも神経をとがらせている。
北朝鮮国境から約100キロのウラジオストク近郊。
昨年12月、ロシア軍は最新鋭の地対空ミサイルシステム「S400」を公開した。
タス通信などによると、射程400キロ以内の戦闘機や、巡航・弾道ミサイルを撃墜するほか、地上の標的を攻撃する能力を持つ。
S400の極東配備について国防省幹部は、北朝鮮のミサイル実験の際に破片がロシア領内に落ちることに対処するためと説明。
ロシアメディアも「朝鮮半島有事への対応が目的」と伝えた。
だが、極東の安全保障に詳しいロシア科学アカデミー極東支部のラーリン氏は、米軍による韓国への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備など「北朝鮮の
ミサイル・核開発を理由に軍事的プレゼンスを高める米国に対抗する意味合いが強い」と分析する。
プーチン大統領は2017年6月、この地域の軍備増強について、米国主導のMD網への「必要に迫られた対抗措置」と表明。
ラブロフ外相も1月15日、イージス・アショアの日本導入に「深刻な疑念」を示した。
また、ロシアは北極圏とアジアを結ぶシーレーン防衛の要所と位置付ける北方領土と千島列島でも軍備強化を加速している。
2016年に択捉島と国後島に新型地対艦ミサイル「バスチオン(射程300キロ)」と「バル(同130キロ)」をそれぞれ配備。
イズベスチヤ紙によると、千島列島中部のマツア島と北部パラムシル島に基
地を建設し、2018年中にこの2種のミサイル配備に着手する見通し。
ロシア外交筋は「米軍が極東で活発に活動する限り、ロシアの軍備増強は続く」と警告した。
北方領土返還は遠のく。
民主党時代のミスが響く。