政府が通常国会への提出を予定する分譲マンション関連法の改正案概要が1月20日分かった。
全ての所有者の多数決で決められる再生策として、新たに「建物と敷地の一括売却」「1棟リノベーション」「取り壊し」の3種類を追加し、建て替えと同じく5分の4が賛成すれば実行に移せるようにする。
老朽化した物件が増加しており、再生を促すには選択肢を拡充する必要があると判断した。
現行法では建て替えに限り5分の4の賛成があれば実施できる。
それ以外は原則、多数決ではなぐ全員の賛成が必要となっている。
改正案で売却などのハードルは下がるが、個人の財産に関わる問題のため、どれだけ利用されるかは未知数だ。
追加する3種類のうち一括売却は、再開発のノウハウがある不動産業者などを相手先として想定する。
1棟リノベーションは骨組みはそのままに内装から外装、設備まで丸ごと一新し生まれ変わらせる方法。
取り壊しは別の用途への転用などが考えられる。
建て替えを含めた4種類とも、耐震性不足などがあれば「4分の3の賛成」に引き下げる。
通常よりも合意形成をしやすくし、災害などによる損壊を防ぐのが狙いだ。
建物の寿命を延ばすには、定期的な修繕や改良の工事が欠かせない。
改正案では、「建物と敷地の一括売却」や建て替えなどと異なり、決議集会に出席した所有者の多数決で実施可能とする。
現在は全所有者が母数で、所在不明や無関心などの理由で欠席者が多いと、必要な賛成票が集まらないという問題があった。
管理組合に対する自治体の権限強化も盛り込む。
管理が行き届かず周辺に悪影響を与えかねないマンションには、立ち入りや報告要求などができるようにする。
国土交通省によると築40年以上の分譲マンションは2023年末時点で137万戸あり、全体の約2割を占める。