厚生労働省は5月29日、がん患者の遺伝子変異を調べ最適な薬を選ぶ「がんゲノム医療」用の検査について、公的医療保険の適用を決めた。
中央社会保険医療協議会に提案し、了承を得た。
既存の治療法が効かない人などが対象。
国が主導する新たな医療が本格化する。
6月1日から保険が使える見通しだ。
検査に必要なシステムは、国立がん研究センターとシスメックスが開発した「NCCオンコパネル」と、米企業が開発し中外製薬が販売する「ファウンデーションワン」。
いずれも一度に100種類以上の遺伝子を調べることができる。
厚労省が昨年12月に国内販売を承認した。
検査にかかる価格はともに56万円。
保険適用で患者の自己負担は1~3割で済む。
月ごとの負担に上限を設ける高額療養費制度を利用すれば、負担はさらに抑えられる。
対象は固形がん(血液がん以外のがん)のうち、手術や抗がん剤での治療が効かなかった人や、治療法がない希少がんや小児がんなどの患者。
ピーク時には年に計約2万6千人が利用し、販売額は年計150億円規模と見込まれる。
がんゲノム医療を提供する各地の中核拠点病吟11ヵ所や、連携病院156ヵ所で患者からがん組織などを採取。
専門家らが効果の見込める薬がないか検討し、主治医を通じて患者に提案する。