米国務省は10月27日、性的少数者らの多様な性自認に対応したパスポート(旅券)を初めて発行したと発表した。
男性と女性しかなかった性別欄で、新たな選択肢としてどちらでもない「X」が選べる。
全ての旅券申請者が同様の選択ができるように、2022年の早い時期にシステムの大規模な更新を終えたい考え。
ハイテン政権は性的少数者の権利擁護を進めており、ブリンケン国務長官は2021年6月、旅券の性別欄に男性と女性以外の選択肢を創設するための手続きを始めたと発表していた。
性的少数者の擁護団体「ラムダリーガル」によると、身体的特徴から男女の区別が難しい「インターセックス」で、旅券の性別欄に男性と女性以外の選択肢を増やすよう求めて法廷闘争をしていた元米兵ダナージムさんに交付された。
ジムさんは「もう男性か女性か選ぶよう強いられることはない」と喜びを語った。
国務省は6月末から、旅券の性別欄で出生時と違う性別を選択する際に義務付けられていた医療機関の証明書の提示について、不要とする手続き変更を実施した。
ラムダリーガルによると、米国のほかにもオーストラリアやニュージ上フンド、ネパール、カナダなどが男女どちらでもない選択肢のある旅券を発行。
こうした動きは少しずつ広がりつつある。
性的少数者の人権を擁護する外交活動を取り仕切るジェシカ・スターン特使は「本当のアイデンティティーが反映された身分証明書を持つ人は、より尊厳を持って生きられる」と強調した。
男性でも女性でもない性自認を持つ人々などのことを「Xジェンダー」と呼ぶ。