東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡り、日本政府と国際原子力機関(IAEA)が、IAEAの枠組みの下、中国も参加できる形でモニタリング(監視)体制を強化する方針を固めた。
政府は中国とも並行して協議しており、中国を含む第三国の役割を拡充し、海水や放出前の処理水の試料採取を容認する方向。
新たな監視体制を踏まえ、中国が日本産水産物の輸入を着実に再開させると表明する。
複数の外交筋が9月19日、明らかにした。
岸田首相とIAEAのグロッシ事務局長が9月20日に電話会談し、監視体制強化で合意する。
日本が求める禁輸措置の全面的な撤廃につながるかどうかが焦点となる。
中国は7月の日中外相会談などで「独立した試料採取」や「長期的な国際監視体制の構築」を求めてきた。
日本側は、IAEAを関与させる形であれば、日本の主権と調査の客観性、他国との公平性を保ちながら、中国の要請にも応えられるとみている。
処理水の海洋放出を受け、日本は国際社会の信頼を得るため、IAEAの指揮の下、第三国の専門家も参加し、各国の分析機関で結果を比較する体制を構築している。
外交筋によると、今後は試料の採取ポイントを増やしたり、中国など希望する第三国が海水や水産物などの試料採取に加わったりできるようにする。
中国は昨年8月の処理水放出開始を「核汚染水の放出強行」と非難し、日本産水産物の輸入を全面停止。
日本は科学的根拠に基づかない措置だと主張し、即時撤廃を求めてきた。
岸田首相と習近平国家主席は昨年11月の首脳会談で、建設的な態度で協議と対話を通じ、解決方法を見いだすと確認。
これに基づき、外交当局間や専門家間で協議を進めてきた。
日本は妥協してまで中国に輸出する必要があるのだろうか。
世界中に販路拡大を図っている最中であり、いつ手のひらを反す中国への輸出は、それなりに行えばよい。