高病原性鳥インフルエンザH5N1型が、アシカやミンクなど哺乳類に感染する事例が相次ぎ見つかっている。
通常は鳥から鳥にうつるウイルスが、哺乳類への適応を高める懸念がくすぶる。
人への感染もあり、約半数が死亡した。
世界保健機関(WHO)は各国に監視強化を呼びかけている。
「世界の鳥にウイルスが拡散し、人を含む哺乳類の感染報告も増えている。 憂慮している」。
WHOで対策を担うブリアン氏は2月24日の記者会見でこう述べた。
カンボジアでは感染した11歳女児が2月22日に死亡し、父親も感染した。
同国で人への感染は2014年以来。
世界では2003年から今年1月下旬に約870人が感染し、53%が死亡した。
ウイルスは渡り鳥が運び、北米でも拡大。
米国では鶏などの殺処分が昨年2月から1年間で5800万羽に上り、この冬は卵の価格が高騰した。
過去にはクマやキツネに感染した例もある。
南米ペルーでは昨年秋、ペリカンなど野鳥で初めて流行。
今年1 月からアシカ600頭以上が死に、一部でウイルスが検出された。
同国などの調査チームは、鳥の死骸を食べるなどの濃厚接触が原因とみているが「集団でほぼ同時に死んでおり、アシカ同士で感染した可能性も否定できない」と警戒する。
英ノッティンガム大のウィルス学者、ジョナサン・ボール教授は「人から人への感染可能性は極めて低い」と分析しつつも、「さまざまな哺乳類での発生が
重なれば、人にうつる可能性も増す。 発生状況を監視し、抑制に力を尽くすベユだ」と注意を促した。