日銀が1月29日に導入を決めたマイナス金利には銀行に積極的な貸し出しを促す効果があるとされる。
消費者は住宅ローンなどの金利低下や株価上昇が期待できるが、円安が進んで輸入に頼る食品が値上がりしたり、有利な条件で高齢者をだます悪質な投資勧誘が増えたりするといった副作用も懸念される。
1月29日の国債市場では、日銀のマイナス金利導入を受けて長期金利が一時、過去最低を更新した。
多くの銀行が住宅マーンの主力と位置づける10年固定型の金利は、長期金利を指標としている。
このまま低水準が続けば、新たに住宅ローンを組む人の金利負担は小さくなりそうだ。
自動車ローンや教育ローンなどの金利も下がるとみられるため、個人消費の回復を後押しする可能性もある。
ただマイナス金利は銀行が日銀に預ける資金のみに適用される。
そのため、銀行から金を借りる一般の人が銀行から「利子」を受け取るようことは直ちには起こらないだろう。
一方、国内の金利が下がれば円を売って外貨を買う動きが広がるため、円安が進みやすくなる。
一段の円安進行で輸出企業の収益が底上げされれば、賃上げの動きが広がりそうだ。
デメリットもある。
円安進行は輸入品の価格上昇をもたらすからだ。
輸入に頻っている小麦粉や大豆を使った食品の価格が上がる恐れがある。
過去の円安局面でもパンや菓子、食用油、マヨネーズといった身近な食品が値上がりして家計を直撃した。
またマイナス金利の導入で預金金利がさらに下がることも考えられる。
年金生活者らには逆風だ。
金利が一段と低くなることで、金融機関が預金者に比較的リスクの高い投資信託などへの勧誘を強める可能性もありそうだ。
高利回りをうたった怪しげな投資商品を売り込む詐欺が増える恐れもあり警戒が必要だ。