女性の再婚禁止期間を離婚後6カ月間と規定している民法733条を100日に短縮し、離婚時に妊娠していないことなどを証明できれば禁止期間内でも再婚を認めるとする民法改正案が24日、衆院本会議で可決された。
参院に送られ今国会で成立する見込み。再婚禁止期間が見直されるのは明治31(1898)年の制定以来初めてで、場合によっては再婚禁止期間が大幅にゼロに近づく。
100年以上続いた夫婦の在り方が変わることになる。
改正案は同条1項の再婚禁止期間を100日に短縮した上で、(1)離婚時に妊娠していなかった(2)離婚後に出産した-場合は1項を適用せずすぐに再婚できるとする。
与野党の修正合意で施行3年後をめどに見直しを行う付則が加えられた。
民法772条では、出産時期が結婚から200日を過ぎれば現在の夫の子、離婚後300日以内は前夫の子と推定するとしている。
再婚禁止期間はこの嫡出推定が重ならないよう設けられているが、100日あれば重複が避けられると指摘されてきた。
最高裁は昨年12月、再婚禁止期間のうち100日を超える部分を、「合理性を欠いた過剰な制約で違憲」と判断した。
違憲判決では、「子の父が誰なのか争いが起きないことが明らかな場合、再婚禁止規定の適用はないというべきだ」とする裁判官6人の共同補足意見が付き、2人の裁判官も補足意見に賛同。
今回の改正案は、補足意見にも配慮し、より踏み込んだ内容となった。
法務省は現行法でも、67歳以上の女性や妊娠しないことが生物学上明らかな場合、例外的に再婚禁止期間の適用を除外する運用を行ってきている。
また、違憲判決以降、離婚後100日を過ぎた場合、再婚を認めており、事実上この判決に沿った運用を進めている。
民法改正前後で、再婚を認められるケースはどう変わるのか。現行法上、多くの女性は離婚後6カ月間を経過しなければ再婚できない。高齢女性らを対象に認めた例外運用も、再婚禁止期間撤廃を求める野党議員でさえ「知らなかった」と漏らすほどで、適用例は限られていたとみられる。
一方、昨年の最高裁判決以降、離婚後100日を経過すれば女性の再婚を認めるよう運用を改めており、禁止期間は約半分に緩和された。改正民法ではさらに、妊娠の有無をめぐる例外規定が設けられ、再婚機会はさらに広がる。
子宮を摘出したなど、妊娠の可能性がまったくない場合は禁止期間が「ゼロ」になる。
ただ、妊娠能力がある女性であれば改正民法でもゼロになることはないことも留意する必要がある。
最新の医療でも、受精と同時に妊娠を判定する技術はないからだ。
このため、妊娠能力がある女性が、「離婚時に妊娠していなかった」とする確定的な診断を得るためには、事実上、離婚後数週間を経過しなければならない。
このため、改正後であっても、妊娠能力があれば、禁止期間が一定程度は残存することになる。
DNA判定をすればよいだけで、100日も全く意味がない。