中国共産党が、記者を送り出している北京大など国内主要大学のマスメディア関連学部の運営に直接関与し、大学の管理を強化する方針を固めたことが12月22日、分かった。
報道の自由など「西側の価値観」を否定し、党に忠実な人材を育成すべく「思想を改造」する狙いがあるとみられている。
習指導部は(民主主義などを支持する)改革派が最も幅を利かせているのは大学とマスコミ」(党関係者)との危機感を抱いている。
報道関係者を養成する大学内で思想引き締めを徹底し、党のプロパガンダを伝える「喉と舌」としてのメディアの役割を一段と強化する。
対象となっているのは北京大、中国伝媒大(北京)、復旦大(上海)、浙江大(浙江省杭州)、武漢大(湖北省武漢)、雪南大(広東省広州)など。
メディアを指導、監督する党中央宣伝部が来年以降、これらの大学に宣伝部職員を順次派遣し、マスメディア関連学部のトップに就任させる計画だという。
学部の教育課程も党が主導し、関連予算の審査を厳格化する。
計画の一部は既に実施されており、共産党当局は今月初旬ごろから、一部の大学関係者には計画の内容を伝達。
マルクス主義などのイデオロギー教育を徹底するよう指示している。
5月ごろには、北京や上海の大学に対して「報道の自由」や「公民権」、人権や民主の尊重を意味する「普遍的価値」「党の歴史的誤り」など7項目について授業で語ってはならないとする指示を出した。
中国の習指導部は発足以来、一貫して大学とメディアに対する締め付けを強めている。
共産党独裁体制の否定につながる民主主義などの「普遍的価値」を支持する勢力が大学内やメディア業界で台頭しているとの警戒感が背景にある。
中国当局は5月ごろ、主要都市の大学に対して「報道の自由」など7項目を授業で教えてはならないと通知。
10月には中国の民主化推進を求める言動で知られる北京大の改革派学者、夏業良准教授の解雇を決定するなど大学で活動する知識人ヘの圧力を強めている。
また、党の宣伝部が全国の新聞やテレビなどの記者25万人を対象に、10月から年末にかけて実施している大規模研修では、「普遍的価値」を「党の指導を攻撃しようとしている」として拒否、報道の自由や立憲政治を求める声を批判の対象としている。
ただ、党による今回の管理強化に対する現場の大学関係者の反発は大きく「計画は難航する」と指摘する声もある。
党の管理強化対象となった大学出身のメディア関係者は「離れた人心を力ずくで取り戻そうとしても無駄だ」と話した。
強引な思想統制に対し、大学やメディア関係者がインターネットを通じて不満を表明するケースが後を絶たず、党支配に対する知識層の嫌悪感がかえって拡大する結果にもつながっている。
弾圧、洗脳に負けず、現体制への不信者がもっともっと増え、民主化活動が活発化してもらいたいものだ。